谷桃子バレエ団「谷桃子追悼公演」
2016.9.23 めぐろパーシモンホール

2of 3
Tani Momoko Ballet
Memorial Performance

「追憶」(2015年初演)
振付/伊藤範子
曲/C.ドビュッシー、F.ショパン
バレエミストレス/高部尚子
バレエマスター/中武啓吾
竹内菜那子
 前半の最後は、今新進振付家として大変注目されている伊藤範子の「追憶」。もちろん心に残る谷への思いを表現したもの。音楽はドビュッシーの「月の光」、ショパンの「別れの曲」など、ただ「別れの曲」は英語の歌詞でポップス風に歌われます。ミストレスに高部、マスターに中武啓吾。
檜山和久
 谷のシンボルとしての月が輝き、その下でまず黒衣の女性群舞、次いで男性たち、そのなかで悲嘆に暮れる男性(檜山和久)、現れる白衣の女性(竹内菜那子)、そして女性群舞も白い衣裳に、心を捧げるなにものかを求めるかのよう。

 伊藤らしい複雑なフォーメーションと説得力ある動き。そして最後に朧な光のなかに求めるものを見出し、心を寄せる群舞のポーズが心に残ります。

竹内菜那子&檜山和久

ヒラリオン:齊藤 拓
「ジゼル」第2幕《谷桃子版》(1957年初演)
曲/A.アダン
バレエミストレス/大塚礼子、上島里江
バレエマスター/中武啓吾
ミルタ:林 麻衣子
 後半はきわめつけ「ジゼル」第2幕。ジゼルは佐藤麻利香、アルブレヒトは復帰の今井智也、ミルタは林麻衣子、そして芸術監督の齊藤拓がヒラリオン、ウィルフリードが団長の赤城圭という全員体制。ミストレスは大塚礼子、上島里江と中武。
 1957年初演の谷桃子版の特徴としては、最初に4人の墓掘り人夫が登場すること、音楽では幕切れの部分がドラマティックに編曲されているところがとくに目立ちます。落ち着いた佐藤、ノーブルな今井、強い林はじめみな良く踊り、演じ、それぞれの役をきっちりと果たしました。
植田綾乃
馳 麻弥
ドゥ・ウィリ:植田綾乃、馳 麻弥
 最後に谷の写真が舞台奥に高く掲げられ、サン=サーンスの白鳥の音楽が流れるなか、舞台、客席一体となって故人を偲び、全体として追悼という意図とその心情が明確に表れた舞台でした。