谷桃子バレエ団「谷桃子追悼公演」
2016.9.23 めぐろパーシモンホール

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Tani Momoko Ballet
Memorial Performance

アルブレヒト:今井智也 & ジゼル:佐藤麻利香
齊藤 拓                    林 麻衣子
佐藤麻利香&今井智也
 それはそれとして、いくつか感じたことを述べてみたいと思います。

 まず全体として、とくに女性が若返り、男性もテクニシャン揃いで現代的な活きのよいシャープな舞台が作られました。それだけに谷桃子全盛の時代とは少し感じが違う気がします。追悼としては、当時(半世紀ほど前)を思わせる、おっとりとした、いい意味での古色蒼然たる舞台も見てみたいと思うのは年齢のせいでしょうか。時代も違うし、ダンサーも技術も変わっているのだから、一般の観客には、それにふさわしい舞台を見せるのが当然かもしれませんね。

 つぎは会場です。たしかに、目黒区は谷桃子バレエ団としては、当初の八雲学園から現在までスタジオがあり、歴史的にもきわめて縁の深い土地なのですが、ここは舞台、客席とも少し狭い。とくに「ジゼル」は、空間は照明やスモークでうまくカバーしていましたが、群舞の動きや袖の出入りにやや窮屈さを感じました。
 そしてもう一つは音楽。せっかくオーケストラ(洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団)を使い、「ジゼル」では指揮の福田一雄の巧みなリードで効果を上げていたので、前半も使えなかったのかと残念に思いました。 

 たしかに、最初のラフマニノフは意識的に初演の音源を使ったということですし、ピアノを入れるのはスペース的にも大変だったのかもしれませんが、オケピットを設けたのですから、最初から生の音楽でやったらもっと雰囲気がでたのではないでしょうか。それぞれに異論はあるでしょうが……

2016年9月23日 めぐろパーシモン大ホール所見

舞踊批評家 うらわ まこと

STAFF

芸術監督/齊藤 拓
バレエミストレス/高部尚子、大塚礼子、植田理恵子、上島里江
バレエマスター/中武啓吾
照明/足立 恒((株)インプレッション)、梶ライティングデザイン
装置/(有) ユニ・ワークショップ
音響/矢野幸正(アートスタジオY’s)
映像/立石勇人(ワンハーフスタジオ)
衣裳製作/大井昌子、小澤郷子、徳田美奈、 (株)プロト
BCコスチューム、日本バレエ協会、谷桃子バレエ団衣裳部、山口三枝子
舞台監督/福島 章
舞台監督助手/山田あゆみ、伴美代子

指揮/福田一雄
演奏/洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団

主催/一般財団法人 谷桃子バレエ団
企画/赤城 圭
制作/谷桃子バレエ団制作部