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Kishibe Ballet Studio

岸辺バレエスタジオ第18回発表会

2005.8.30 メルパルクホール
Branches of Sorrow and Love
音楽:M.ナイマン/高木まさかつ/J.S.バッハ/G.マーラー
振付:キミホ・ハルバート
 発表会の第2部は岸辺さんの「タイプライター」「魔法使いの弟子」とまたまたおもしろい作品が続き、その後にいよいよキミホさん振付の新作「Branches of Sorrow and Love」が上演されました。このタイトルを日本語に訳すと「悲しみと愛の白」とでもなるのでしょうか。20名以上のダンサーが登場する大掛かりな25分の作品です。
 群舞の場面をいろいろに重ねて、社会に生きる人間の姿を見せ、しだいに話をひとつの家族へと絞り込んでいきます。その展開の自由さはキミホさんならではのものですが、観客に或るひとつの流れを感じさせる配慮はきちんとなされています。そのために、だんだんと舞台の世界に引き込まれてしまいます。
 最後はシモ手の椅子に白いドレス、白い大きな帽子の女性が座っているシーンです。カミ手には黒い椅子があり、そこにいるはずの男性は座っていません。人々が列を作り白いバラを捧げているのです。その列の最後にキミホさん自身が登場して、やはり一輪のバラを捧げます。すると中空から白い羽根が降り注ぎ、そこで作品は終わります。これが岸辺さん、ハルバートさん、キミホさんの一家の歴史を描いたものだったということがわかります。しかし、そういうことを知らずに見た人にも、この作品の良さは充分に伝わったのではないでしょうか。
桑原文生&キミホ・ハルバート
◆「ドン・キホーテ」
音楽/L.ミンクス 振付/M.プチパ
ドルシネア姫(実はキトリ):小黒いちご
森の女王:岡崎弓佳
 そして最後は「ドン・キホーテ」の第2幕「夢の場」と第3幕「結婚式の場」となりました。「夢の場」は、ドルシネア姫(じつはキトリ)を小黒いちごさん、森の女王を岡崎弓佳さん、愛の妖精キューピッドを御園生麻衣さんが、「結婚式の場」は、キトリを菊池あやこさん、バジルを梶原将仁さんが踊り、はなやかに盛り上げて第18回発表会をしめくくりました。小黒さんの愛らしさ、菊池さんのしっかりとした技術と全体をひとつにまとめ上げるリーダーシップの高さをはじめ、見どころたっぷりの「ドン・キホーテ」でした。
愛の妖精:御園生麻衣
 延べ3時間半という長い発表会でしたが(発表会はどこもたいていそうですが…)、ぎっしりと内容が詰まっていて、少しもあきずに最後まで見ることができました。

2005.8.30 メルパルクホール所見 

やまの・はくだい=舞踊評論家

バジル:梶原将仁&キトリ:菊池あやこ