2016都民芸術フェスティバル
(公社)日本バレエ協会
「眠れる森の美女」
16.3.19〜20 東京文化会館大ホール

2of 3
Japan Ballet Association
「Sleeping Beauty」

 歴代の世界的名花が名を残したオーロラ姫をこなす力量は、めったに求められるものではありませんが、酒井はなの、16歳の愛らしい王女から王妃に相応しい人格へと成長した姿は、さすが日本を代表するプリマの一人です。体力的にも最も厳しい役を崩れる事なく踊り切った見事なオーロラでした。

 相手の奥村デジレ王子は、若手ながら新国立劇場の主役でめきめき力を付けてきた近年、完成期のベテラン・プリマに伍すべく真摯に取り組んだ成果は歴然、グラン・パ・ド・ドゥの調和が、国王と王妃に相応しい愛を表現しました。

オーロラ姫:酒井はな
オーロラ姫:松岡梨絵
 筆者所見のもう一組の松岡オーロラ、橋本王子はこの作品の原型タイプとは少し異なった個性です。美貌がそのまま美しいプリンセスの松岡梨絵は、一幕は愛らしい無垢な少女というより、少しお茶目なところもありそうな活発な美少女かも、と思わせるところがあり、狩りの場で颯爽と登場の橋本王子が、若い力に満ちた頼もしい青年像なので、この王子なら、がっちりと姫を受け止め、二人で遊び心を楽しみながら明るい毎日を送るのかもしれない、などと想像させました。
森でオーロラの存在を知って、ようし、何がなんでもやるぞ!という強い意欲を表現し、愛を貫く強い意志を持った男であることを、王子の気品とともに見事に表現しました。これが終幕のグラン・パ・ド・ドゥの安定感に繋がります。
ダイヤモンドの精:伊野波 都、金の精:大山裕子、銀の精:大長亜希子、サファイアの精:渡久地真理子
ダイヤモンドの精:樋口ゆり、金の精:清水あゆみ、銀の精:島 沙緒梨、サファイアの精:福水 遥
酒井はな
松岡梨絵
 堀口純の優美なリラの精は、大人のやさしさで相手を包み込む心地好さがあり、まことリラの精に相応しい魅力がありました。同じく平尾麻実のリラの精も柄に合っていますから、動きにあと少しの粘りが加われば、大人の雰囲気(懐の深さ)が出てくると思います。
堀口 純
デジレ王子:奥村康祐
平尾麻実
オーロラ姫:松岡梨絵&デジレ王子:橋本直樹
奥村康祐/井はな/堀口 純