2016都民芸術フェスティバル
(公社)日本バレエ協会
「眠れる森の美女」
16.3.19~20 東京文化会館大ホール

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Japan Ballet Association
「Sleeping Beauty」


日本バレエ協会「眠れる森の美女」

伊地知 優子

 2016都民芸術フェスティバル参加公演は1970年以後、年中行事となっていて、記録によれば「眠れる森の美女」は今回で9回目になります。いわばバレエ協会得意演目の一つといえるでしょう。
優しさの精:渡久地円香、元気の精:原田貴子
鷹揚の精:榎本祥子、呑気の精:木下真希、勇気の精:小泉菜摘
優しさの精:伊野波 都、元気の精:斎藤ジュン、鷹揚の精:小野麗花
呑気の精:佐藤優美、勇気の精:伊地知真波
 「眠れる森の美女」は古典名作のなかでも、規模、内容、財力ともに最高級の実力が要求される大作ですから、有名バレエ団でもうかつに手は出せない作品です。人材を結集して大きな力を生み出す協会でこそ、弱小団体では出来ない仕事をする、という点では理にかなった演目です。
優しさの精:渡久地円香
優しさの精:伊野波 都
元気の精:原田貴子
元気の精:斎藤ジュン
鷹揚の精:榎本祥子
鷹揚の精:小野麗花
呑気の精:木下真希
呑気の精:佐藤優美
 ただそれには批判もあります。作品に求められる格調の高さは、踊りのスタイルがばらばらの寄せ集めダンサーでは、とても生み出せない、それに相応しいスタイルで育てたバレエ団がやるべき作品である、と。これはクラシックバレエではどの作品にも言える事で、その頂点といえる「眠れる森の美女」ではとりわけ厳しい目が向けられます。その点は、作品の「スタイル」という伝統を築くだけの歴史がまだ浅い日本の課題ではあります。
勇気の精:伊地知真波
勇気の精:小泉菜摘
リラの精:堀口 純
リラの精:平尾麻実
カラボス:西島数博
カラボス:敖 強
 19日(初日)の酒井はな・奥村康祐組と20日マチネーの松岡梨絵・橋本直樹組が主役の2公演を見ました。

 主な脇役と3幕のディベルティスマンは日替わり配役ですが、群舞は3公演を通して同じ踊り手ですから、一番勉強になったのは、群舞のダンサーだったのではないでしょうか。そう思えるほど群舞の出来栄えがよかったことが、作品の大切な要件である一定の「雰囲気」を保ち、格調を支えた要因になっていました。出来て当然、の主役は言うに及ばず、マリインスキー劇場から、マヤ・ドゥムチェンコを振り付け指導に招いた成果が、場面ごとの練り上げた構成と丁寧な仕上げに現れていました。