谷桃子バレエ団「ラ・バヤデール」

2008.2.8&9 東京文化会館 大ホール


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Tani Momoko Ballet
「La Bayadere」

マグダベア:川口裕也
巫女達
バラモン:赤城 圭

クラシックの形式性のなかに東洋を溶け込ませた
谷桃子バレエ団「ラ・バヤデール」

うらわ まこと
 バレリーナらしいバレリーナとして一世を風靡した谷桃子の率いる谷桃子バレエ団。といっても彼女はモダンダンスからスタートしたのです。そのせいか、上演する作品も、所属するダンサーたちの活動も、古典、新作、そして現代的な分野まで、きわめて多岐にわたっています。
ニキヤ:佐々木和葉&ソロル:齊藤 拓
ニキヤ:永橋あゆみ&ソロル:今井智也
 今回は「ラ・バヤデール」。27年前に初演したものを一昨年に久し振りにとりあげ、好評をえて再び上演したものです。スタイルとしてはクラシック・バレエですが、19世紀から20世紀にかけてヨーロッパ、ロシアで起こった異国趣味、東洋へのあこがれ(エキゾティズム、オリエンタリズム)の影響を受け、インドが題材になっています。ちなみにバヤデールとはインドの巫女であり、宮廷の踊り子のことです。

 原振付はマリウス・プティパですが、谷桃子バレエ団の初演はスラミフ・メッセレル、それを再演にあたって望月則彦が改訂、美術も新しくし、さらにこのたび手を加えています。

女官:広瀬万弥子、宮城 文
女官:川原亜也、黒澤朋子
黄金の仏像:三木雄馬
 若き勇者ソロルをめぐる舞姫(バヤデール)ニキヤと、領主の娘ガムザッティの争い。そこにニキヤに思いをよせる大僧正がいて、物語に深みを与えます。もともとはニキヤとソロルは愛し合っていたのですが、領主の力でガムザッティと結婚させられることになります。その結婚式に踊ることになるニキヤ、彼女への愛が忘れられないソロルのため、ニキヤを亡き者にしようと領主は彼女のもつ花束に毒蛇を潜めます。踊っている最中に毒蛇にかまれたニキヤは、その企みを知って絶望のあまり、大僧正の差し出す解毒の薬を拒否して死を選びます。

 ソロルは後悔に沈み、苦しみを阿片に紛らわせようとします。その幻想のなか、彼は多くのバヤデールが黄泉(死)の国から降りてくる幻影を見、そこでニキヤと出会い、愛を確かめ合います。そしてバヤデールたちが黄泉の国に戻るとき、ソロルもニキヤとともにその国に向かうのです。

つぼの踊り:川原亜也
つぼの踊り:瀬田統子