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札幌舞踊会Xmas公演 バレエ「くるみ割り人形」
2005.12.4 北海道厚生年金会館
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Sapporo Buyoukai
NUTCRACKER
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少女クララ:寺沢里紗&ドロッセルマイヤ:佐藤崇有貴
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チャイコフスキーのシンフォニーが、現代的なテンポのポップなバレエ作品に大変身!
札幌舞踊会が2005年12月に上演したのは、坂本登喜彦版『くるみ割り人形』。三回目の上演となる今回は、映像も駆使してテンポアップした現代の『くるみ』となった。
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メイド:加藤彩花、飯田朝世
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人形:梶原千佳、川村結愛、石川千咲斗
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客電が落ちて、聞き覚えのある序曲が流れ出す…、はずが聞こえてきたのは、おじさんの怒鳴り声???あれ、どこかで聞いたことがあるような気もするのだけど。
と思うと、明るくなった舞台に映し出されたのは、なんと小泉首相の顔!
そう、冒頭の声は小泉首相が演説する声だったのだ。しばらくすると、首相の顔は、これまたお馴染みのテレビ通販会社の社長に切り替わる。実は舞台中央に見えるスクリーンはテレビ画面。小さなクララ(寺沢里紗)がリモコンで、チャンネルを変えていたのである。
退屈そうにテレビ画面を眺めていたクララが、身を乗り出した画面は、ロック・バンド。アメリカンフットボールのコスチュームを着たドラムの青年と、チアガールのようなコーラスの少女たち。そしてギターは、くるみ割り人形の仮面をつけている。クララはバンド「The Nutcrackers」に夢中なのだ。
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少女クララ:寺沢里紗
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クララの父:正木亮羽&母:窪田玲子
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この冒頭のシーンだけでも、この『くるみ』がただ普通の古典バレエの焼き直しではないことがお分かりいただけるだろう。次々とテレビ画面をザッピングするクララは、まさに現代を生きている少女。これは、今私たちが生きて、呼吸をしているのと同じ時代の物語なのである。
坂本の演出は、一人ひとりの登場人物に明確な個性を与えている。若くてステキなパパ(正木亮羽)とママ(窪田玲子)、かっこいいお兄さん(奥山真之介)、家族みんなに愛されて、クララがすくすくと育っていることもきちんと描かれる。さらにクララの家族だけでなく、メイドたちやパーティに招かれた人々にもそれぞれキャラクターが与えられ、パーティが進むに連れて、彼らの個性もどんどんと際立ってくるので目が離せない。
おしゃべり好きなメイドたち、年頃の兄フリッツのキュートなガール・フレンド、酔っ払って騒ぎ出す大人たち…。
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兄フリッツ:奥山真之介&恋人:郷 翠
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パーティにはもちろんクララの大好きなドロッセルマイヤーおじさん(佐藤崇有貴)の姿も。ドロッセルマイヤーは、父親に負けず劣らず、かっこいいステキな大人の男性として描かれている。クララを導くステキな大人の男性を佐藤がダンディに造詣していく。
ドロッセルマイヤーが、「The Nutcrackers」にそっくりなダンスグループを連れてくるという設定も新鮮。本筋には無関係なディヴェルティスマンが入るのが古典バレエだが、坂本版には、単に踊りを見せるだけのディヴェルティスマンはない。ダンスグループは全編を通じて登場し、クララに夢を見せるための重要な役を果たすことになる。さまざまな登場人物が、後半の展開への伏線となっているので、ストーリーの展開に無理がないのだ。もちろん、クララがなぜくるみ割り人形に惹かれるのかもちゃんと描かれている。
この作品の本質が「少女の憧れ」であることを踏まえた演出だ。少女クララが抱くさまざまな憧れの形が変奏され、終幕のグラン・パ・ド・ドゥへと収斂していく。
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人形:西野隼人
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寺沢里紗/佐藤崇有貴/くるみ割り人形:梁 靖(リャン ・ジン)
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寺沢里紗&梁 靖
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古典版とは異なり、クララのくるみ割り人形を壊すのは、酔っ払った大人たち。が、大人が全て悪いわけではない。ドロッセルマイヤーと一緒に壊れた人形を直してくれる優しい先生(林香織)が登場するのも坂本版のポイント。ドロッセルマイヤーがステキな男性の規範だとすれば、この教師は理知的で優しい理想の女性像ということになるだろう。クララにとっての理想の存在を設定したことで、酔っ払った大人たちの無秩序な世界と、秩序ある理想の世界の対比が明確になっている。
この酔っ払いの大人たちが、クララの夢の中ではネズミとなって彼女を脅かすのだ。この展開はとてもわかりやすいし、あくまでもクララのイマジネーションの世界で起きた物語なのだということもはっきりとした。
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雪の女王:林 香織
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クララ:藤岡綾子&くるみ割り人形:梁 靖
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