NBAバレエ団「ドラキュラ」
2014.10.25&26 ゆうぽうとホール

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NBA BALLET CAMPANY
「Dracula」

ミーナ:峰岸千晶&ハーカー:大森康正

志賀信夫の「動くからだと見るからだ」

ドラキュラの歴史
 ドラキュラというとルーマニア、トランシルヴァニアの吸血鬼として知られ、さまざまな吸血鬼映画も作られている。有名なのは、クリストファー・リー主演によるテレンス・フィッシャー監督『吸血鬼ドラキュラ』(1958年)。その前はベラ・ルゴシがドラキュラを演じたトッド・ブラウニング監督『魔人ドラキュラ』(1931年)である。
 ドラキュラはルーマニアの伝説によるとされるが、実はこの物語は比較的新しい。19世紀、1816年にスイス・レマン湖にある、英国の詩人バイロンの別荘に集まった人たちが、千夜一夜や夢十夜のように競って作り合った物語の一つだ。集まったのはバイロンと詩人シェリー、後のシェリー夫人、その姉妹でバイロンの愛人、そしてバイロンの主治医のジョン・ポリドリだ。

 バイロンは1913年に吸血鬼の詩集『異教徒』を書いており、このとき小説を書こうとしたが断念し、ポリドリは『吸血鬼』(1919年)、シェリー夫人が『フランケンシュタイン』(1918年)を書いた。つまりドラキュラとフランケンシュタインはそのときに生まれたのだ。そのポリドリ作品は当初バイロン作とされてヒットし、さらにレ・ファニュの『吸血鬼カーミラ』などが出るが、これらとルーマニアの串刺し公ヴラド・ツェペシュ(ドラクル:ドラキュラ公の息子)を重ねて、1997年にブラム・ストーカーが『吸血鬼ドラキュラ』を書く。そしてこれがその後の幻想小説、ゴシックロマンを形作る元の一つとなる。つまり英国の幻想文学の主流は、19世紀初めのバイロンの夜に生まれたとも言える。

ドラキュラ:大貫勇輔
3人の女バンパイヤ:浅井杏里/関口由美/竹内碧
バレエ『ドラキュラ』誕生
 1996年、ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』百周年を祝って、ミルウォーキーバレエ団の振付家マイケル・ピンクによって、このバレエ作品は作られた。そして本年10月、NBAバレエ団設立20周年記念公演として、このマイケル・ピンク振付『ドラキュラ』が、大貫勇輔主演、久保紘一演出で上演された。
大貫勇輔&大森康正