(社)日本バレエ協会 第30回「全国合同バレエの夕べ」

2006.8.11&13 新国立劇場オペラ劇場


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Japan Ballet Association
Joint Ballet Soiree Gala


東北支部「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
音楽:ウォルフガング・モーツァルト
振付・構成:左右木健一
バレエ・ミストレス:力丸純奈/左右木くみ

「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」という親しみやすい音楽に乗って
現代の青年の“出会い・ときめき・別れ”を斬新に描いたと解釈しましたが......。

左右木健一 さん;作曲者モーツアルトの人生を私たち現代の人間に投影させました。誕生・時代の犠牲になった青春時代・没後の再評価など目に見えない何かに翻弄させられた一生とけっして抵抗できない時代のようなものを感じていただければ嬉しいです。
少女が青年を突き飛ばすシーンが衝撃的でした(爆)クラシックでは絶対に会えないシーンですね。

_四楽章のなかでパッチワークのように描きありきたりのシンフォニックバレエではないものを作りたかったのです。ザルツブルグ州立劇場バレエ団に在籍中に私が学んだことなのですが、もっと生身の人間を表現できればと常に考えています。

サウンド・オブ・ミュージックが撮影された町としても有名ですがモーツァルトの生まれた町ですね。そこで左右木さん自身が学んだ日々も投影されているようですね。

大場優香
出演メンバーは仙台のご自分のスタジオ(左右木健一・くみバレエスクール)が中心ですか?

_とんでもありません。昨年の11月ごろオーデションにたくさん参加していただいて、東北六県からですので集まる機会が少なくて10回ぐらいですかね、集中して本当に集中した合同レッスンでした。

今回の振付で得たものは?

_振付家のイマジネーションを超える何かを持ったダンサーに出会えたことに感謝します。
ああ、なるほど。敢えてお名前は出しませんが彼女ですね。(笑)
ラストシーンで男の子が落としたのは楽譜ですね。あれは音楽の虜になったことを表現しているのでしょうか。

_天啓を得たとでも言うべきでしょうか、それを拾ったことが彼女の今後の人生にどのような影響をあたえるのか、後ろから迫ってくるものと彼女が戦うことが出来るのか、あえて答えは出しません

高橋一輝&馬場 彩
黒装束の正体は悪魔なのかそれとも天使なのでしょうか?

_善か悪かは個人個人で評価が違いますが、彼女が今後の人生をどう生きるかを観客の皆様にも考えて欲しいですね。

大場優香

関西支部「眠れる森の美女より 〜第3幕〜」
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
原振付:マリウス・プティパ
再改定振付:石川恵己
バレエ・ミストレス:田上世津子


再改定振付ですが石川恵己先生は関西支部として初めての演出ですか?

石川恵己 さん:1978年の第1回公演に「くるみ割り人形」振付として参加しました。その当時は本当に大変でしたが、今はすばらしいダンサーもたくさんおりますし隔世の感があります。
古典の名作を再振付される難しさはどこにありますか?

_ 古典の継承すべき点は継承して、なおかつ現代の観客にも共感してもらえるように構成・演出も変化すべきだと考えております。特にテンポですね、何百年も前に作られた作品のスピード感は全く違います。

小姓10人のダンスはスピード感あふれる美しい振付で感動いたしました。

_ ありがとうございます。作品をじゃましていないかが心配 でしたが安心しました。小4から中1までのメンバーです。王様の後ろをただ歩くだけの役だと思っていた子もいたようですが、振付当初はたくさんのダンスに驚いていました。(笑)

フロリナ女王:谷吹 知早斗&青い鳥:北村俊介
赤ずきんと狼:酒井直希磯貝 麗
メソッドもスタイルも違う各スタジオからの集合体ですがどのように......。
_ 小姓とはどんな仕事なのか、宮殿で踊る意味合いなどを話すことを通して、気品や優雅さをできるだけ伝えたつもりです。

オーケストラと合わすことに苦労なさっている支部の方も多いのですが......。
_稽古するときにテープでテンポを遅くしたりまた早くしたりして調整したものを指揮者の方にお渡ししましたので、それはスムーズに踊れたと思います。また、関西支部は毎年1月に芸術劇場(関西支部主催の恒例行事)などを通してオーケストラ慣れしているのだと思います。
小姓
デジレ王子:青木 崇 & オーロラ姫 :山下摩耶
_ 残念ながら今年は男性の出演者が少なくてどこまでこの作品を伝えることが出来るか不安でした。この大きな新国立劇場オペラ劇場に負けないような 演出になったでしょうか?

D.S.:もちろんです。オペラカーテンが開いて 岩本 正治&野村 幸加さん演じる王・王妃が登場からすでに堂々たるもので関西の底力を見せつけられる思いがしました。

岩本 正治&野村 幸加

東京地区「メイキング・オブ・バック」
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ
振付:植田理恵子
バレエ・ミストレス:加藤京子


谷桃子バレエ団「CREATIVE PERFORMANCE II」で山野博大さんは「バレエ独特の角度の整理がよくできていて、次々と交替して舞台に登場し、短いステップをつないでいく簡素な白い衣裳のダンサーたちの動きが、レース編みのパターンのように美しく見えました。」と大賛辞でしたが、パーシモンの小さな舞台で拝見したときと今回はずいぶん印象が違いました。バッハの曲の美しさはもちろんですがアンサンブルの美しさは特筆ものですね。
永橋あゆみ
佐々木和葉&今井智也
梶原将仁& 黒澤朋子
植田理恵子 さん:音楽の美しさに惹かれ 初演当初はエチュードとして作ったのですが、ソリスト4組だけはそれぞれの女性(伊藤さよ子/黒澤朋子/佐々木和葉/永橋あゆみさん)のイメージで、それぞれがきれいに見えるようにと振り付けました。
谷桃子バレエ団のメンバーが中心のようですが初演時からのメンバーは 気心がしれているようですね。

_私は谷桃子バレエ団で一般・高等科のクラスを教えていますので、そこを経て団員になった子を 気楽に「コラ」といえる環境は貴重です(爆)


振付家として飴と鞭をどう使い分けていらっしゃいますか?
_私はだめかな。できません(笑)バレエ・ミストレスの加藤京子さんがその分厳しく......。(爆)
佐々木和葉
抽象的な質問ですが「バレエの美しさとは」?

_舞台とクラシックのテクニックは全く違うものです。稽古場でギリギリまで使う筋肉は(足など上がれば上がるほど)気持ちが良いのですが、それを舞台で表現できるかは全く別の問題です。仮にその瞬間に成功したからといってそれで終わりはないのです。バレエ人生はその先もずっと続くのですから美しさを永遠に求め続けることがダンサーの使命です
指揮:堤 俊作
演奏:ロイヤル・メトロポリタン管弦楽団 
照明:中沢幸子
音響:中村 基
舞台監督:森岡 肇
チーフ・プロデューサー:赤城 圭