井上バレエ団創立40周年 財団設立25周年 井上博文没後20年記念公演
「3Choregraphers + Peter Farmer」

2008.7.13 文京シビックホール・大ホール

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Inoue Ballet
「3Choregraphers + Peter Farmer」

「グラン・パ・エスパニョール」
ミンクス曲 関 直人振付
バレエミストレス/鈴木麻子、萩原美佳
衣裳/佐々波雅子(ピーターファーマー原案による)
キトリ 島田衣子
バジル エマニュエル・ティボー
 最後の「グラン・パ・エスパニョール」は関直人さんの振付。「ドン・キホーテ」のダンス・シーンを上手につなぎ合わせて、とびきりはなやかな舞台を作り上げました。
 配役は、
 キトリ/島田衣子
 バジル/エマニュエル・ティボー
 街の人々/藤井直子、鶴見未穂子、小高絵美子、宮嵜万央里、西川知佳子、田川裕梨、田中りな、横関雄一郎 他 です。
「ドン・キホーテ」はスペインが舞台ですから、普通ですとはっきりとした色使いの衣裳で踊られるところですが、井上バレエ団では淡いパステルカラーの衣装を用意しました。これはどぎつい色使いを嫌ったバレエ団創立者の井上博文さんのことを考えたからです。彼だったら、きっとそうしただろうという、いかにも優雅な舞台をスタッフたちがよく考えて作り上げたのです。
藤井直子
 島田衣子さん、ティボーさんのシャープな踊りを中心に、藤井直子さんをはじめ多くのダンサーたちにすてきな見せ場が割り振られていました。振付を担当した関さんは、はなやかな見せ場をこしらえる名人です。なるべく難しいテクニックを使わないようにして、踊りやすくて、しかも見栄えのする振付をしてくれるので、ダンサーたちは大喜びです。そのために彼らは思い切って自分の良いところをお客様にアピールすることができるのです。
鶴見未穂子
藤井直子/井上陽集/中尾充宏
横関雄一郎
 このバレエは「ドン・キホーテ」のダンス・シーンを選び出して作ったために、曲の順番がいろいろと変わっています。それを間違いなく演奏するために、指揮者の堤俊作氏はかなりたいへんだったことでしょう。
小高絵美子
エマニュエル・ティボー & 島田衣子
 創立40周年の井上バレエ団は、ベテランから若手のすべてのダンサーが力を合わせてこの記念公演をりっぱに乗り切りました。井上博文さんが亡くなって20年になりますが、彼の「あくまで優雅で美しいバレエを」という考え方は、後を守る人たちによってしっかりと受け継がれています。
 ここで得た貴重な経験は、12月の「くるみ割人形」公演ですぐに生きてくることでしょう。

2008年7月12、13日文京シビックホール所見

やまの・はくだい=舞踊評論家

STAFF
芸術監督/関 直人
美術/橋本 潔
照明/古賀満平
舞台監督/相馬勝己
音楽監督・指揮/堤 俊作
演奏/ロイヤルメトロポリタン管弦楽団

衣裳制作/柊舎
帽子・髪飾制作/福沢久子
セット制作/俳優座劇場舞台美術部

公演監督/岡本佳津子
事務局/諸角佳津美
制作/(財)井上バレエ団