井上バレエ団創立40周年 財団設立25周年 井上博文没後20年記念公演
「3Choregraphers + Peter Farmer」

2008.7.13 文京シビックホール・大ホール

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Inoue Ballet
「3Choregraphers + Peter Farmer」

「コンセルヴァトワール」
パウリ曲、オーギュスト・ブルノンヴィル振付
フランク・アンダーソン、エヴァ・クロボーグ再振付・指導

山野博大の電脳バレエ横丁徘徊

 7月12、13日、文京シビックホールで井上バレエ団の創立40周年、財団設立25周年、井上博文歿後20年の記念公演が、 「コンセルヴァトワール」「ジェンツァーノの花祭り」「ヴァリアシオン」「グラン・パ・エスパニョール」という、とてもおしゃれなプログラムにより行われました。地味な演目ばかりが並んでいるようですが、これはほんとうに玄人好みのプログラムなんです。一見地味に見えても、作品の準備にはたいへんな手間がかかっています。
 「コンセルヴァトワール」は、1849年にブルノンヴィルがデンマーク王立歌劇場バレエ団のために振付たものです。井上バレエ団とご縁の深いデンマークのバレエ界から、フランク・アンダーソン氏とエヴァ・クロボーグ女史を招いて指導してもらい上演しました。
 幕が開くと、由緒正しいバレエ学校のクラスの風景。宮殿の大広間のような豪華な部屋の天井にはカバーをかけられたシャンデリヤが下がっていて、バレエ・マスター(トーマス・ルン氏)の指導によるレッスンが始まっています。

 配役は、
 島田衣子(12日)田川裕梨(13日)
 宮嵜万央里(12日)小高絵美子(13日)
 トーマス・ルン
 セバスチャン・クロボーグ、荒井成也、横関雄一郎、秋元康臣 他
で、ダンサーたちは優雅な白のロマンチック・チュチュ姿。ルン氏の粋な身のこなしがいかにも古き良き時代のものという感じです。井上バレエ団の若手ダンサーたちが、その場にふさわしいゆったりと落ちついた演技で、19世紀のバレエ教室の風景を再現しました。
ヴィクトリーヌ:宮嵜万央里/バレエマスター:トーマス・ルン /エリザ:島田 衣子
セバスチャン・クロボーグ

「ジェンツァーノの花祭り」
ヘルステッド曲
セバスチャン・クロボーグ &西川知佳子
 「ジェンツァーノの花祭り」は、
 西川知佳子(12日)田中りな(13日)
 セバスチャン・クロボーグ
によるパ・ド・ドゥです。
脚をすばやく動かすことが多く、常に空中にいるように見える連続したジャンプが特長のブルノンヴィルのテクニックが多用される難しい踊りですが、どちらの組も、どこまでも美しく、ゆとりを持ってきれいに踊りきりました。この踊りは、いっしょうけんめいやっているところを見せてしまっては、ダメなのです。

「ヴァリアシオン」
シューベルト曲
セルジュ・リファール振付
レオンヌ・マイル再振付
シリル・アタナソフ指導
衣裳/リラン・アルフェルト
 「ヴァリアシオン」は、セルジュ・リファールが1953年にパリ・オペラ座のエトワールたちのために振付たものです。井上バレエ団とご縁の深いシリル・アタナソフ氏の指導により、井上バレエ団の女性ダンサーたちが踊りました。
ラフォン:田川裕梨
ダルソンヴァル:田中りな
ボサール:宮嵜万央里
ダイデ:小高絵美子
バルダン:鶴見未穂子
ヴィルボバ:藤井直子
配役は、
 ダルソンヴァル/田中りな(12日)西川知佳子(13日)
 ラフォン/田川裕梨
 バルタン/鶴見未穂子
 ボサール/宮嵜万央里
 ダイデ/小高絵美子
 ヴィルボバ/藤井直子
でした。この作品では、それぞれの役に1950年代当時のパリ・オペラ座のエトワールの名前が付けられています。井上バレエ団の女性ダンサーたちは、短いバリエーションの中でそれぞれ自分の良いところをはっきりと印象付けて踊りました。