劇的舞踊集団Kyu
第三回公演
「灰かぶり姫 」

2011.4.16 日本橋劇場

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劇的舞踊集団Kyu
第三回公演
「灰かぶり姫 」

清水フミヒト/王子様:堀内 充/えーじ

吉田悠樹彦の
Driving into Eternity


劇的舞踊集団Kyu 「灰かぶり姫〜僕らのシンデレラ物語〜」

 劇的舞踊集団Kyuの新作は橘るみをヒューチャーした「シンデレラ」(演出・振付:上田遥)だ。原作をファンタジー調に翻案しファミリータッチで大人から子どもまで楽しめる作品にした。
シンデレラ:橘 るみ
ショコラ夫人:佐藤一哉
姉:箆津弘順/橘 るみ/妹:膳亀利次郎
 オリジナルとの大きな差は神様(高谷大一)とキューピットが登場すること、キューピッドがショコラ家の召使をしているヒロインを見いだし王子に見せるという一計を講じたこと、そしてこの本当の王子(堀内充)と橘るみが街中で生活をしている設定だ。辛い生活の中でも明るく生きる主人公の姿をみると城で暮らしていた王子の心の中にやがて変化が起きてくる。仮にお城にいる王子は実は小間使いが扮した偽の王子(清水フミヒト)なのだが、結婚相手を探すために舞踏会を催すことになる。
ショコラ家はいずれもそれぞれのジャンルで知られた屈指の男性ダンサーたち(佐藤一哉、古賀豊、膳亀利次郎、篦津弘順)のだが、いつもながらの女装の演技の巧みさを披露し欲望に忠実なその生き様を描いてゆく。パーカッションのタツルがビートを刻み盛りあげていくなかで、ポピュラーなこのストーリーが展開する。それぞれのシーンの振付・構成は現代舞踊をベースにしている。神様が無欲な乙女に対する継母や娘たちのいじわるを暴くと、最後は主人公と共にいることが多かった王子がその本当の姿を現す。
神サマ:高谷大一
ネズミたち
北川真衣・高田菜月・田代幸恵・長野ななみ・中田愛美里・濱田日向子
 主役が無欲な青年だと思っていた初恋の男が実は王子だったと知り身分の差で迷うシーンで二人がみせる踊りや演技が見事だ。やがてキューピットこと中村友里子の明るい朗らかな歌声の中での温かい踊りにつながってゆく。
ニセ王子:清水フミヒト
 橘るみは東京シティ・バレエ団でプリマとして活躍しているが、映画・テレビなど様々な活動を通じて自身の世界を広げてきている。そんな踊り手の感覚に通じるようなラストシーンの振付や演出は一際見事だ。スター性の強い橘とスーツでしっかりときめたスターダンサーたちが舞台を彩る。リズムを刻むようにしなやかなバレリーナの肉体がセンターが踊ると、男たちも盛りあげる。このシーンだけでもダンサブルなナンバーにも展開できるエンディングだ。
妹:膳亀利次郎/橘 るみ/姉:箆津弘順
高谷大一&橘 るみ