堀内 元・堀内 充
「Ballet Collection2014
」
2014.5.30 めぐろパーシモン大ホール
2of 2
Gen Horiuchi & Jyu Horiuchi
Ballet Collection 2014
「More Morra」
振付:堀内 元
音楽:Joe Morra
元の2作品では、トリを飾った群舞「More Morra(Joe Morra曲)」(出演:小川有梨、持田耕史、他)が20名も主演する大所帯で、締めに相応しく躍動的で活気に満ちていました。オーディションでダンサーが参加する公演が最近増えていますが、かつては人がいないのでかき集めて、でしたが、いまは全体に水準が上がって、いいダンサーたちが結構集まるようです。スタイルの定まった作品には向きませんが、自由な創作では、むしろ個性としていかせる利点もあります。この作品もその利点を元がうまくいかして纏めたといえます。
作品はバランシンというより、長年アメリカの多様な舞踊活動を体験して得たことが強く影響しているように思えます。それは自作自演の「Once in a Blue Moon(Erik Satie曲)」(共演:谷口愛海)に一層色濃く現れています。
小川有梨&持田耕史
実年齢よりずっと若く見える中年男が、若い女を相手に嬉しがっているのか、精一杯頑張って踊っています。現れては消える女に振り回されている様子。が結局女をさがすのを諦めると、一人寂しく、ではなく逆に生き生きと踊り出す、というオチがついています。このオチが男のやけくそに見えないのが、どこまでもクラシックバレエの語彙、規範をはずさない元でこその踊りにあります。冗談好きのアメリカ人が喜びそうな軽い情景や笑いを描いても、どこか真面目で、まめで親切な人柄がみえてくる元の表現は、羽目を外すことなく、基本に忠実なバレエを積んできた元のスタイルといっていいでしょう。
小川有梨
その点は充にも共通しています。ただ年齡とともに誰しも身体の表現力が変わっていきますし、90歳人生の時代に向かうにしがたがって、どの分野でも可働年齡も伸びています。もし作品や芸風の異なりが際立ってくるとすれば、50歳60歳以降もじゅうぶん有り得ますし、個人差はさらに広がる一方です。堀内兄弟のバレエ人生のキャリアはまだ半分しか来ていません。異なる環境で似た者同士が今後どういう歳の取り方をしていくのか、楽しみです。
2014.5.30 めぐろパーシモン所見
舞踊批評家 いじち ゆうこ
堀内元&堀内充
Gen Horiuchi & Jyu Horiuchi