1of 2 Gen Horiuchi & Jyu Horiuchi Ballet Collection 2014
伊地知優子
爾来30年以上を経て、元はアメリカ、充は日本、と本拠地を異にし、経歴も異なる兄弟が、それぞれ群舞を1つ、作家自身が女性と二人で踊るデュオを1作づつ披露して、計4作品、欲張らず、観客と膝を交えて対話するようなプログラムでした。
昨年に続き第2回となる今回は、兄弟がともに舞台に立つのが20年ぶりというのも話題になりました。
また充もダンサーとして名声を得る一方で、早くから創作を手掛けてきた点で共通しますが、その人生もバレエ一家という家庭環境に恵まれ、バランシンの名作を数々踊って大成した元と、東京では佐多達枝の数々の名作の主力を担うダンサーであった充も、成長期の山本禮子バレエ団などの振付けも多く手掛けています。大成する条件である「良い作品と指導者」に恵まれた点にも共通する兄弟です。
充は元と同様、年齡には見えない大きな動きで、憧れの女性をなんとか元気づけたいと必死に動き回る年下の青年のようにもみえます。役の設定がどうであれ、大切な人をなんとか支えたいという「愛」が、美しい大人の女性と献身的な男性の間に通うことが作品の核ですから、二人の兄妹でも夫婦でもいいし、充がもっと歳を取ったら父親という設定でもよさそうです。そういう幅が可能な普遍的な「心」の表現であり、ダンサーの力量次第で、意味も味わいも深まる作品です。