2014都民芸術フェスティバル参加公演
公益社団法人日本バレエ協会公演
アンドレ・プロコフスキー版「アンナ・カレー二ナ」全幕

2014.1.11&12 東京文化会館・大ホール

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Japan Ballet Association Presents
Andre Prokovsky Vertion Anna Karenina

 第三幕一場は、オペラハウスのホワイエ。かつて人々から親愛なるキスで挨拶されていたアンナだが、いまでは露骨に無視される。そこからアンナの死へとドラマは一気に進んでいく。下村は、心が壊れていく様を回転やジャンプに見事に投影させていく。女優プリマと評されている彼女に、アンナは似合う役だとは予想がついていたが、それ以上にその演技は深みがあった。キャリアを積み上げた現在の下村由理恵のアンナを見ことができたのは幸運だった。
 一方、瀬島は、舞台上でどんどん存在感を増していった。ポジションを大事にした丁寧な動きがアンナ像を構築していく。息子セリョージャとのやり取りは自然で、その母性に素直に共感できた。神戸の至宝の瀬島であるが、まだまだ可能性は秘めている。こういう形で東京の舞台を踏むのは、彼女自身にとっても東京の観客にとってもとても意義深い。12日ソワレの酒井はなの演技は所見していないが、やはり素晴らしかったと聞く。結果的に3人のプリマが個性を発揮した。外人ゲスト頼りで名作を上演した初演時から、日本のバレエ界は大きくレベルアップした。それを確信させた公演だった。

2014.1.11&1.12マチネ所見 

舞踊評論家 桜井多佳子

瀬島 五月
下村由理恵
下村由理恵&佐々木 大
瀬島 五月&アンドリュー・エルフィンストン
ウロンスカヤ伯爵婦人:竹澤 薫
STAFF

指揮/江原 功
演奏/東京ニューフィルハーモニーック管弦楽団
原作/レフ・N・トルストイ
振付/アンドレ・プロコフスキー
音楽/ピョートル・I・チャイコフスキー
編曲/ガイ・ウールフェンデン
美術/ピーター・ファーマー

監修/法村牧緒
振付指導/杉山聡美
チーフ・バレエマスター/橋浦 勇
バレエ・ミストレス/伊藤範子、今間千佳子
バレエ・マスター/野村一樹、柴田英悟
総監督/薄井憲二

照明/沢田祐二
舞台監督/森岡 肇(ハージャイム・ステージ・スタッフ)
衣裳コーディネーター/吉田牧子(タウン・ステージ)
衣裳・装置協力/法村友井バレエ団
衣裳協力/BCコスチューム
舞台/東宝舞台(株)
リハーサル・ピアニスト/米田ゆり、佐野 祐
制作担当/金田和洋
制作補佐/前田藤絵、江崎由美
マネージメント/インターミューズ・トーキョウ