石神井バレエ・アカデミー公演「Triple Bill」
2017.7.4　文京シビック大ホール

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Shakujii Ballet Academy
Triple Bill

『四季』

音楽／ジュゼッペ・ヴェルディ
作・振付／山崎敬子
ヴェルディの音楽を使い、冬、春、夏、秋の順に季節が巡る。「冬」は池本を中心に、南雲久美、山口麗子、安藤貴絵、佐藤さやか、児玉海歩、泉 有香が、粉雪の精のように踊る。池本のマネージュは、180度開いた脚が、空中で更に伸びるような勢いがあった。
冬
池本祥真
南雲久美、山口麗子、安藤貴絵、佐藤さやか、児玉海歩、泉 有香
「春」は西田と秋元のグラン・パ・ド・ドゥ。男女が同じタイミングで同じステップを踏む振付に、ストレートな春の歓びが感じられる。直前の幕でコミカルな一面を披露した秋元は、ジャンプの度にしっかりと五番に降りる、本来の秋元らしいノーブルな踊り。
春
西田佑子、秋元康臣
「夏」は酒井と浅田による、オフバランスを多用したパ・ド・ドゥ。こちらは男女が会話をするように交互に踊るステップがあり、「春」から繋がる振付としての”展開"が面白い。イブニングドレスのような衣装の酒井の、暑さを表す腕の動きがとりわけ色っぽく、夏の宵のロマンティックな恋模様が描かれた。
夏
酒井はな、浅田良和
秋
吉田 都、高岸直樹
安藤貴絵、細野 生、土橋冬夢
南雲久美、山口麗子、佐藤さやか
児玉海歩、泉 有香
吉田 都、高岸直樹
安藤、細野、土橋を中心とした導入に続き、「秋」には吉田と高岸が登場。高岸の長身を生かした、リフトの多いグラン・パ・ド・ドゥで、華奢な吉田の可愛らしさが引き立った。正しいポジションに瞬時に入る吉田のキレのある踊りは、細かな足先の動き一つ一つにまで行き渡っている。高岸の肩に乗った吉田を中心に、女性陣が大きな円を描いて回るフィナーレは、さながら秋風に舞い上がる、色とりどりの葉を眺めているようであった。
キャストの豪華さだけでなく、それぞれのダンサーの魅力を引き出すことにも気が配られている公演だった。一夜限りだったのは惜しいが、その”一回性”もまた魅力の一つで、トリプルビルを特別なものにしていた。

2017年7月4日所感

すみだ・ゆう＝詩人／舞踊批評家
STAFF
演出・振付／山崎敬子
舞台監督／西澤明彦（遊カンパニー）
照明／工藤武夫（舞スタッフ）、アステム（「一枚の絵｝）
衣裳制作／林 なつ子（工房いーち）、グルロ アーブル
音楽編集／近藤徹志
音響操作／相馬保之
事務局／西村光弘
制作／外崎芳昭
主催／石神井バレエ・アカデミー