第24回清里フィールドバレエ『ジゼル』

2013.8.10 清里萌木の村特設ステージ

2of 3
The Field Ballet 
Giselle

ジゼル:川口ゆり子
ペザント:山本康介&藤吉千草
 川口ジゼルは、いつもの清楚な村娘でしたが、足の怪我があったらしく、やや生彩を欠いた場面がありましたが、そこはさすがのプリマ、狂乱の場で本領を発揮しました。狂ったからこそ見えたジゼルという女の本質を描いた点で新鮮でした。
川口ゆり子/バティルド姫:野田春菜子 /逸見智彦
 狂った女の表現として、ずっと目が虚ろに宙を泳ぎ、あるいは鬼気迫る恐ろしげな目であったりしますが、そうではなく、狂うことによって解放された内面が表面化したように、荷を下ろして軽やかに飛翔する魅力的な女に変わっていくのです。
ただの純朴な村娘ではなく、男のように自由に表現できなかった愛も思慮深さも夢も思いやりも、いっぱい詰まった大きな心が、俗世のかせが取れた今、直に訴えるのです。それでこそアルブレヒトが忘れられない女の魅力であったのかと思えるのです。
川口ゆり子& 正木 亮
 狂いっ放しの表現ではなく、観客はそれまでは違うジゼルの魅力を見出し、でもあれっ、狂ってると分かる瞬間がちらっと、二度ほどあればそれで十分。川口芸術の「やり過ぎない」見せ場が生んだ新たなジゼルの魅力でした。
 逸見アルブレヒトもフォームが崩れず立派な若者を演じ、あまり見せまくるダンサーではないので、悔悟の念を表す2幕が最も自然で柄にも合っていました。
アルブレヒト:逸見智彦 ウィルフリート:吉本泰久
ベルタ:平川有希
ジゼル:川口ゆり子