井上バレエ団「ジゼル」

2012.7.21 文京シビック大ホール

3of 3
Inoue Ballet
「Giselle」

 第2幕の最初はミルタのひとり舞台。ヒラリオンが怪しい光の点滅に驚いて退場すると、ミルタの高村明日賀(22日は西川知佳子)が舞台奥をカミ手からシモ手へとパ・ド・ブレで通過します。ここはウィリーの女王ミルタの妖しい威厳と美しさを強調するところ。複雑に出入りを繰り返す振付もありますが、関直人版はすっきりと整理された動きが特色です。
ミルタ:高村明日賀
コール・ド・バレエを従えて踊るところも、スタンダードの振付から逸脱するところはまったくなく、安心して見ていられました。コール・ド・バレエの背後からグラン・ジュテで前に進み出るところは、ミルタの見せ場です。高村のジュテにはふわりと浮く感じがあって、見応えがありました。
ドウ・ウィリー:田川祐梨
ドウ・ウィリー:管野やよひ
ミルタ:高村明日賀
島田 衣子&エマニュエル・ティボー
島田衣子は第2幕も絶好調。ティボーとの間合いにも余裕が感じられ、個々のステップも質の高さが目を引きました。

藤野 暢央
島田 衣子&エマニュエル・ティボー
 教会の夜明けの鐘が鳴り、ウィリーたちは消える時間となります。ひとり残ったジゼルをアルブレヒトが押しとどめようと手を広げて前へ出て行くのですが、幻影と化している彼女はそこをすっとすり抜けてしまいます。
 シンプルに組み上げたドラマの流れを、全員で注意深く踊り切り、すっきりとした感じに仕上げた『ジゼル』でした。島田衣子の動きを注意深くフォローし、終始ゆったりとした雰囲気で舞台を進めた指揮者の江原功の功績も忘れてはいけません。

2012.7.21 文京シビック大ホール所見

舞踊批評家 やまのはくだい

STAFF

芸術監督 振付 関 直人
美術 衣裳 ピーター・ファーマー
演出 指導 ブリュノ・コーアペ
指導 シリル・アタナソフ
バレエミストレス 鶴見 未穂子、萩原 美佳

美術監修 橋本 潔
音楽監督 堤 俊作
指揮 江原 功
演奏 ロイヤル・チェンバー・オーケストラ

照明 立川 直也(満平舎)
舞台監督 相馬 勝己
音響 貫井 政仁
衣裳製作 柊舎

公演監督 岡本 佳津子
制作 諸角佳津美 石沢恵美