2015都民芸術フェスティバル
(公社)日本バレエ協会公演
『コッペリア』全幕
セルゲイ・ヴィハレフ復元振付けによるマリウス・プティパ版
2015.3.7&8 東京文化会館大ホール

2of 3
Japan Ballet Association
「Coppelia」

スワニルダ:法村珠里
 3回公演で主役はトリプルキャスト。所見の8日マチネのスワニルダ=法村珠里は、舞台に出ること、踊ることが嬉しくて仕方ない風で、それが役柄の明るさとぴったり。と同時に足先への強い意識も感じさせた。現役時代のヴィハレフの足先は、それは美しかった。なので恐らくその辺りの指導も徹底していたのではないだろうか。フランツの浅田は、なんとも爽やかな好青年。基礎に忠実な動きは美しく、伸びやかだった。
スワニルダ:下村由理恵
 鈴木未央の話では、7日の主役の下村由理恵は、「アドリブがきき、音楽とぴったり合った、見ていて気持ちが良いキレのある踊り」、芳賀は、「とても紳士的で丁寧」、8日ソワレの志賀育恵は「スワニルダの役柄が上手くリンクされていた」、橋本直樹は「お茶目なマイムがいつも客席を沸かせていた」という。下村については「圧倒的な存在感と演技力」(カメラマン談)だったとも。3キャストともそれぞれに魅力的だったようだ。
コッペリウス:桝竹眞也
浅田良和&桝竹眞也
 第2幕では、忍び込んだスワニルダとその友人たちとともに観客もドキドキ。人形たちが踊り出す風景は文句なしに楽しい。そこに戻ってきたコッペリウスは、スワニルダが扮しているとを知らずコッペリア人形に魔法をかける。人形の目は開き、手足は動き、やがて命が宿っていく。第一幕で覇気がないように見えた老人コッペリウスが、ここでは活き活きと驚き、喜ぶ。

コッペリウス役の桝竹眞也は、そんな孤独で偏屈な老人を、細やかでいて思い切りの良い演技で描いていた。法村との掛け合いの「間」も絶妙だった。

下村由理恵&マシモ・アクリ
桝竹眞也&法村珠里
下村由理恵
法村珠里