PASHA PROJECT
「FIRST COLLECTION」

2010.5.17 セシオン杉並

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PASHA PROJECT
「FIRST COLLECTION」


松本大樹振付
「PARAHORIZON」


佐藤祐基 岸川英里
森田真希          堀浩子

Strictly Dancing
-ダンスに首ったけ-

林 愛子

 ダンスカンパニー・パシャは、ダンサーとして知られる森本由布子が、今、自分たちにできることとして企画したプロジェクトであるという。その第1回目となる公演には、各バレエ団で活動するダンサーたちやフリーのダンサーたち、振付家たちが結集して、古典作品から創作まで文字通り多彩なプログラムで見せた。

石井竜一振付 「わらべ歌」

大溝千明 上四元藍 清水あゆみ 清水美由紀
杉山周子 贄田麗帆 吉田真由美 八木美帆
新村純一   福原大介
 3部構成からなる舞台の、まず第1部には創作が2作品並ぶ。「PARAHORIZON」は松本大樹の振付で男性1人(佐藤祐基)女性3人(森田真希、岸川英里、堀浩子)によって踊られる。情感を排除した動きから無機的な印象を受けるが、次第に熱を帯びてきたように感じられるのは、ダンサーたちの一生懸命さが伝わってくるからだ。

「わらべ歌」は石井竜一の作品。新村純一、福原大介と女性陣8人が繰り広げるのは、1番目の作品とは対照的にいきいきとした明るさを感じさせるという意味で有機的といえる。全体を貫く雰囲気はどこか牧歌的でもあり、軽快にユーモアを交えて描かれる男女の関係、ちょっとしたやりとりは、現代にも通じる感覚がにじみ出ていて親しみやすい。そんな情景が広がる前に、ヤナーチェクの音楽が新らしい響きとなって聞こえてくるのがいい。

 ロマンティック・バレエと古典あわせて3作品と創作2作品が踊られた第2部は、パ・ド・ドゥ集ということもできる。まず橋本悠香と佐藤祐基の丁寧な運びによる「ラ・シルフィード」。第1部で創作を発表した石井竜一がここで岸川英里と組んだ「エスメラルダ」は、ベテラン石井がクラシックの踊り手として面目躍如たるテクニックを見せ、岸川も堂々とこれに応えた。森田真希と福原大介による「海賊」では、森田が安定したテクニックを見せ、ダンスール・ノーブルとして活躍する福原がダイナミックな踊りで新しい顔をのぞかせ功を奏した。

ラ・シルフィード 」

佐藤祐基&橋本悠香


振付 新村純一

「GITANA ARDORE」
 これらの間に上演されたのが、新村純一が振り付けて根本佳奈と踊った「Gitana Ardore」である。おなじみビゼーの曲のエッセンスを吸い上げたように、テンポもよくロマの情熱というタイトルどおりに、2人は一分の隙間もないデュエットを踊りあげた。隙間がないといえば、松崎えりが振り付けて増田真也と踊った「norte」は、緊密さとダンサー同士の呼吸の合致において最も際立っていたといえよう。アルボ・ベルトの曲と照明効果のもと、巧みなオフバランスによっって示された距離感は、そのまま男女の関係を描いて説得力をもっていた。
根本佳奈&新村純一

松崎えり振付 「NORTE」

松崎えり&増田真也

エスメラルダよりグラン・パ・ド・ドゥ

岸川英里&石井竜一

海賊よりグラン・パ・ド・ドゥ

福原大介&森田真希