(社)日本バレエ協会
第31回「全国合同バレエの夕べ」

2007.8.12 新国立劇場オペラ劇場


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Japan Ballet Association
Joint Ballet Soiree Gala

関東支部
「ドン・キホーテより ディべルティスマン」
音楽:レオン・ミンクス 原振付:マリウス・プティパ
改定振付:大胡しづ子 バレエ・ミストレス:室賀孝子
振付家インタビュー
ダンス・スクエア:関東支部は「ドン・キホーテ」を選びましたが大胡さんが振り付けなさるのは…
大胡しづ子さん :3年前に群馬支部で「ジゼル」を振り付けましたがそれ以来です。

その際の主演は?
_今回と同様に渡部美咲&貞松正一朗さんのコンビです。
美咲さんは群馬の山本禮子バレエ団出身ですが、現在は兵庫県にお住まいですから 正一朗さんとのリハーサルは好都合でした。

あ、なるほど。久しぶりに 美咲さんのグラン・フェッテを拝見しましたがバツグンの安定感でした。
_(大きくうなずいて)「ドン・キホーテ」は「第16回国民文化祭・ぐんま2001」もこの二人で踊ってもらいました。その時のソリストやコール・ド・バレエはほとんど変わってしまいましたが。

全員が揃って会わせる機械は少なかったと思いますが、ご苦労なさったところは?
_やはりメソッドとスタイルの違いですね。クセをクセとして認識していないから、首のポーズをつけたりポール・ド・ブラを指導するのが大変でした。ちょっと時間が足りませんでしたね
渡部美咲&貞松正一朗
中島由利香
坂井萌美&服部友子
全員が必ず1回は前に出て来る大胡先生らしい素敵な演出でした。ゲネプロを2階から拝見しましたが、とても統一されていて時間不足は感じませんでした。
_ そうおっしゃっていただけると嬉しいです。 バレエ・ミストレスの室賀孝子さんのおかげです。

観客の皆さんにはどこを見ていただきたいですか?
_ 今回は「ドン・キホーテ」のストーリーから切り離された ディべルティスマン(余興)として作りましたので、明るく楽しいバレエを感じて下されば嬉しいです。出演者には「きれいだけじゃダメよ。元気のない舞台は魅力がない」と繰り返し言ってますので“元気”をお持ち帰り下さい。(爆)
鈴木裕子
四国支部
「輪舞-ロンド」世界はワルツにのって
音楽:プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ、ハチャトリアン他
振付:石原完二 監修:立脇紘子
バレエ・ミストレス:河野自由美
ダンス・スクエア:振付の石原完二さんがご都合でいらっしゃれないとのことですので、バレエ・ミストレスの河野自由美さんに伺います。四国支部が京都の石原さんに振り付けを依頼されたきっかけは?

河野自由美さん :薄井憲二先生のご紹介です。私どもの発表会(立脇紘子バレエ研究所)で「慈愛に満ちた光の中へ」と「恋人たちの森」という作品を作っていただいたことがご縁となりました。
操り人形のような動きが冒頭とラストに出てきますが......。
_未来を担う若者が主人公なのですが、自由を束縛された人間社会への怒りやもどかしさを表現しています、

なるほど、だからその後の自由を謳歌している様が強調されるのですね。場面が一転し明るくなった後の曲の構成がとてもドラマチックでした。
_ 男女の出会いが ショスタコーヴィチ、ラストが プロコフィエフの仮面舞踏会です。ロンドのなまえが示すようにラストは渦になって世界を巻き込みたいが振り付け家の訴えたいメッセージです。
西岡憲吾&井上雄介
男性二人がとても伸びやかで印象的でした。
_ 高3(井上雄介)と中3(西岡憲吾)の伸び盛りです。コンテンポラリー作品の解釈は難しかったようですが精一杯演じてくれました。

観客の皆さんには何を感じて欲しいですか?
_ ほとんどのダンサーがコンテンポラリー初出演なのですが、若者のピュアなエネルギーや純粋なゆえの脆さも感じていただければ......。

青春を謳歌しながらも、だからこそはかない、だからこそ切ない。そんなメッセージを感じました。石原美学とでもいうべきでしょうか。
沖縄支部「パキータ」
音楽:レオン・ミンクス  原振付:マリウス・プティパ
改定振付:飯島礼子 バレエ・マスター:飯島寛
ダンス・スクエア:大変失礼なんですが。(社)日本バレエ協会の沖縄支部のお名前を初めて耳にしまして(笑)
飯島礼子 さん:今年が創立25周年です。ほぼ2年に1回のペースで2002年にも「バレエ・アンサンブル」で参加しました。
飯島寛 & 砂川世里奈
日本最南端からようこそ!沖縄と一口に言っても広いですね。(沖縄諸島 東西約1000キロ、南北約400キロ)やはり沖縄本島が中心なようですね。あれ!飯島 さんは北海道出身ですか?
_ はい。上京し平岡志賀舞踊団に入団し、主人の転勤で沖縄へ1952年に移住しました。

えっ!北海道からですか。パスポートが必要なころですからまさに移住ですね(笑)

「パキータ」という難しい作品に挑まれたのは?
_ 私が大好きな曲なのですが難しい のはもちろん承知しています。以前、もう20年ほど前になりますか、支部で踊る機会がありまして「その時よりも伸び伸びと大きく踊って欲しいな」と考えました。

飯島礼子さんにとっては継続しているんですね。
今回は若いメンバーが多いようですが新国立劇場でオーケストラで踊られるのは初めての方が多いんでしょうね。
_ なにより、まずコール・ド・バレエが揃って欲しいんです。「沖縄でもできるんだと認めて欲しい」のが正直な気持ちです。

なんだか応援したくなってきました。(笑)甲子園に首里高が初出場の時のように(笑)
東京地区「弦楽セレナード」
音楽:ドヴォルザーク
振付:堀 登 バレエ・ミストレス:赤池美恵子
宮城文& 佐藤友香
ダンス・スクエア:ドヴォルザーク の名曲「弦楽セレナード」を選ばれたのは?

堀 登 さん:私はまず曲ありきです。(ご自分が)退屈で寝てしまう曲では振り付けはできません。(笑)


「弦楽セレナード」と聞いた時点で群舞・群舞で構成してくるんじゃないかと想像しましたが見事に裏切られました。さらに前田新奈さんと石井竜一さんの“男女の出会い”、実はソコは見逃したんですが“すれ違い”“別れ”と、とてもドラマチックな演出でした。

_ 実は“出会い”はないんです。(笑)すれ違った瞬間の男女の感情が表現できれば、そこからストーリーが始まれば......。それがドラマでありパ・ド・ドウなんです。
石井竜一
前田新奈
宮城文さん& 佐藤友香さんが不思議な役でした。二人を会わせようとしたり引き裂こうとしたり、天使と悪魔の両方を往き来していたようですね。

_ 「運命」と大上段に構える気持ちはないんです。観客の皆さんが自由に楽しんでもらえれば......。

「ジゼル」二幕のような展開かと想像したのですが、ラストは女性が男性を想って佇んでいるシーンでその逆でした。現代的ですね。
_ 恋愛は双方の勘違いと思いこみが個々のドラマを盛り上げます。それに観る側が同化して「別れたのかしら?」「この後どうなるの」と観客の皆さんの想像を刺激したいですね。
前田新奈
石井竜一
大勢の出演者の振り付けがとても細かいところまで作り込まれていて驚いたのですが「5 VS 5」とは違う美しさを感じました。
_ 観客を一瞬たりとも退屈させたくないんです。その怖さをつねに感じています、スピーディーにドラマが進行する。特にラスト5分は全員が一度も引っ込まずに踊り続けます。

なるほど、その緊張感があの盛り上がりを生んだのですね。でもダンサーはきついですねえ。
_ 私は(この作品に)出たくないです。(爆)
STAFF

指揮:堤 俊作  
演奏:ロイヤル・メトロポリタン管弦楽団 
照明:中沢幸子(梶ライティング・デザイン)
音響:中村 基   
舞台監督:森岡 肇  
チーフ・プロデューサー:赤城 圭