アンケート結果大報告

編集長The interview「T.D.S.の明日はどっちだ!?」


T.D.S.6th Anniversary アンケートにご協力いただきありがとうございました。3月末日までに約360名(22%)の方から回答が寄せられました。
このアンケートの狙いと結果を受けての感想、そして6周年を迎えた意気込みなど、いつもと立場を替えてT.D.S.編集長鈴木紳司氏に聞きました。

◆約2割の人から回答いただいたわけですが、率直な感想はいかがですか?

鈴木:忌憚のない意見が多くて、たいへん勉強になりました。(汗を拭く)

◆アンケートの意図を訝しがる(不審に思う)人も多かったのではないかと思うのですが?
鈴木:
「T.D.S.ついに有料化か!?」。事実、アンケートに答える代わりに「登録削除」を送ってくる人も結構いましたよ。「すぐ退会します」とね。(笑)

◆それが狙いですか?

鈴木:め、滅相もない!このアンケート、実は、1年前のとある事件がきっかけでずっと温めてきたんですよ。あるチケプレに当選した人が、公演の翌日に「登録削除」のE-mailを送ってきたんです、一言のメッセージもなしで。「応募のときのあの熱いメッセージは何だったのか!?もうご用済みってことか!?」と激しく落ちこんでしまいましたね。

◆ハハハ。ご当人は至って気軽に登録し応募して、逆かな?応募のために登録して当選し、ハイサイナラ〜!だったんでしょうね。

鈴木:この点、T.D.S.は登録無料、応募にハガキは不要、チケットはペアでくれると、これほどお手軽で都合のいいホームページは他にありませんから(ちょっとスネる)。たった一つのE-mailに一喜一憂している人間がいるなんて、想像もしなかったでしょうね。

それともうひとつ。T.D.S.のために用意されたチケプレ招待席に“空席”が目につくようになったことです。「行けなかった」のか?「行かなかった」のか?それはわかりませんけどね。
すべての空席が「行きたくても行けなかった」結果だとしても、もしそれが「おこづかいや食費を削って」買ったチケットなら、万障繰り合わせるなり他の誰かに譲るなり、もっともっと無駄にはしない努力をするんじゃないでしょうか。

◆「どうせタダだもん」.....ゴメンナサイ。その結果の“有料化案”ですか?

鈴木:何も“見返り”という意味ではないんです。ましてやそれで儲けようという.....「営利に走らないで!」って意見もさっそくありましたけど。(笑)「翌日登録削除や空席の人は真のダンス・ファンじゃなかった!」って声高に言うつもりはないんです。ただ、その人たちのために、ホントに行きたかった、熱心な読者が閉め出されてしまったことは事実だと思うんですね。

もっと厳格な意味での“会員制”っていうのかな、いまやT.D.S.は1,600人の大所帯ですからね、ここらへんで、もう1つ上の括(くく)りを考えてもいいかな.....と。

◆有料化に対しては「もっとメリットがないとだめ」が圧倒的多数でした。(笑)


「ネットで無料でいろいろな情報がとれる時代に有料化は難しいのではないでしょうか」(うさこちゃん)「年間3,000円以上出すくらいだったら、私ならチケット1枚買って公演見に行くなあ。有料化すると人数はぐっと減って半分以下になるでしょう」(ゆ〜び〜えすさん)「T.D.S.の内容はプロワークと呼べるかどうか、ちょっと疑問です。有料化するならもう少し内容を充実させるか、チケプレの当選人数を増やすなどの工夫が必要では?」(無記名さん)などが代表的意見です。

鈴木:ハハハ.....ごもっとも。(^_^;) 案の定というか、ハナから想定していた結果でしたので、ショックはないです。(ちょっと涙ぐむ)

◆え〜っ!?最初から有料化は廃案だったんですか?(-_-#) じゃ、なぜアンケートを?

鈴木:すみませんっ!(恐縮)皆さんのホンネを聞いてみたかったんです。その中から読者がT.D.S.に何を求めているのか、逆に言えば、これからのT.D.S.に求められているものは何か?を探ってみたかった、それが一番の狙いです。
それにインターネットの、というだけで珍しがられた時代は過ぎましたしね、T.D.S.だけの独自性、売りも必要になってきました。

◆T.D.S.生き残り大作戦ですね。結果から何が見えてきましたか?

鈴木:たとえば東京以外の地方にいる読者にとって、チケプレは何の恩恵もないわけで、その意味ではこれほど純粋な読者はいません。「もっと精力的に取材してほしい」は「もっともっといろんな作品を紹介してほしい」という声だと解釈しました。

そのひとつコンテンポラリーは写真にしても文章にしても魅力や感動を伝えることはほんとうに難しく、二の足を踏みがちだったのですが、こんなに面白いダンスもあるんだということを東京から全国に向けて発信、紹介できたらいいな.....と、実はこれ、T.D.S.の初志だったんですけどね。

◆そういえばバレエ雑誌も地方の人の方が熱心に購読しているという興味深い結果も出ていますね。

鈴木:そうみたいですね。“ゆ〜び〜えすさん”じゃないけど、東京近郊の方は「そんなお金があったら公演見に行くなあ」って人多いでしょうね。(笑)
と言って、今後T.D.S.がバレエ雑誌の追随をするつもりはありません。フッフッフ。

◆それはどういう意味でしょうか?

鈴木:たとえば、要望の多かった海外バレエ団など“メジャーどころ”の公演情報はインタビュー、公演写真ともバレエ雑誌で手厚く紹介されますよね。それは得ようと思えば雑誌で容易に得られる情報です。

T.D.S.でなければ得られない情報をこそ発信して行きたいと思っているんです。アクセス理由が、雑誌は有料でT.D.S.はタダだから、ではあまりに哀しいし.....(うつむく)

◆T.D.S.はホームページという自由な誌面を駆使して、一夜限りの公演をたっぷりのカラー写真と批評で再現、しかも翌日掲載という、画期的な“ダンスWebグラビア”として多くの支持を集めてきました。1,600名の定期読者というのも、考えたらスゴイ数ですよ。(ヨイショッ!)

鈴木:ありがとうございます。おかげさまで6周年です。(機嫌を直す)
敷居の高かった主催者に取材許可をいただけるのも、チケプレに賛同いただけるのも、これもみんな6周年という実績と、それを支える1,600名の読者あってこそだと思っています。

◆謙虚ですねえ。「今でも十分魅力的」(coquelicotさん他)という嬉しがらせる声も届いていますが、次にできることって何でしょう?

鈴木:“翌日アップ”も“直前インタビュー”も「ネットならではの企画」のつもりだったんですけど、すでに皆さん意識されていないんでしょうね。(笑い)実はこれがいちばん難しく、皆さんにも頭を抱えていただきました。あっ、まだまだ募集中ですよ!
その中のひとつが今回始めた「マイスタジオ」です。

◆「バレエスタジオ登録〜来て見て!私の発表会・スタジオ公演! 」ですね。

鈴木:ハイ、1600名の読者の中には、バレエを見るのも好きだけど踊るのも好き、実際、今現在習っている過去習っていた、今から習いたい(子供に)習わせたいという人がびっくりするほど多いんですよ。

その一方で、プロ(「人は先生と呼びます」)も多い。これは情報交換してもらわない手はないなと。生徒さんの情報だけが頼りですので、気軽に登録してください。まずは発表会を見ることでそのスタジオが目指す方向性や指導者の熱意などを感じてほしいですね。登録数が少ない今がスタジオにとってもチャンスですよ。

◆その他には?

鈴木:半分お遊びで始めたQuick Movieがえらく評判が良くて(笑)、「ダンサーが身近になった」って声をたくさんいただきました。考えたら、ダンサーの声ってなかなか聞くチャンスないですからねえ。

それから稽古場写真も雑誌ではカラーで載ることはまずないので、楽しみにしているファンも多いようです。これなどもネットならではの企画のひとつとして充実させたいですね。

◆チケプレ人気はダントツでしたが「直前インタビュー」が楽しみだという声も結構多かったですよ。

鈴木:創作バレエやコンテンポラリーの場合、こちらも白紙の状態なので、自分の心準備のために行なうこともあります。(笑)。それもなるべく専門的ではなく、一般的なファンの目線でインタビューを心掛けています。(これって、言い訳に聞こえる?やっぱり.....シュン)

ダンサー、振付家、スタッフ、バレエ&ダンス界には魅力的な人材が実に豊富なので、これも金鉱のひとつ。(笑)その他いろいろ考えていますが、まだナイショ。

◆楽しみに待ちましょう(笑)。ところで、ボランティアについて、読者の皆さんの理解は半々でした。チケプレといい、批評家のコメントといい、HPという範疇を越えてもはや1メディアとして認識されているという解釈も成り立つんじゃないですか?

鈴木:(^^ゞ満更でもない様子)購読料や広告料に依存していない、という意味でのボランティアです。私(撮影)も批評家も「この舞台を紹介したい」という熱意だけでここまでやってきました。もちろん、見てくれる読者がいて、の話ですが。

その一方で、ボランティアだから(無報酬だから)、読者の要望に唯々諾々と従う必要はない、好きなものだけ採り上げていればいい、という“甘え”というか“開き直り”があったのも事実ですね。
1メディアとして認識されればされるほど、ひとつひとつの取材に対して責任が生じてくるというか、中途半端にはできないというプレッシャーがありますね。必然的に数はこなせません。ココ、太字でお願いします。

◆ただの言い訳に聞こえますけど(笑)、ボランティアと営利企業ではどんな違いがあるんでしょう?

鈴木:(ズッコケる)た、たとえばですね、地方の場合、取材費というものは全くないので、行きたくても行けない“お家の事情”があります。これまでお伺いした地方のバレエ団はチケプレ同様、交通費などの提供をいただいてはじめて取材できました。

◆「私も手伝いたい」という声が多かったようですが?

鈴木:ありがとうございます。年中募っていますのでよろしくお願いします。詳しくはTokyo Dance Squareの仕事内容ボランティア募集 をご覧ください。
実際にデザインをお願いしている人もいますし、コメンテーターとして(アマチュア)デビューを飾った人も何人かいますよ。感想を書くのとは大違い、丸一日仕事だったとか。「やっぱりプロ(の批評家)はスゴイ!」と痛感したそうです。(笑)

◆ところで、編集長の本業は何?

鈴木:パソコン販売と間違われたこともありましたが(爆笑)、発表会の撮影・販売です。だから「本気でバレエを習うならそのスタジオの発表会を見てから決めて!」(ひめさん)という意見には全く同感です。でもその本業をホッポリ出して取材に出かけ怒られることも多いんです。(爆笑)質問が予想以上に多かったので今度プロフィールを載っけることにしました。(嬉しそう)
私のように舞台写真を撮ってみたい方、ご連絡ください。(^o^)/~~~
この道は技術よりセンス、そして何よりバレエ&ダンスが好きだという気持ちです。

◆最後に、T.D.S.の読者にひとこと。

鈴木:インターネットという夢の道具がなかったら、T.D.S.は生まれなかった。T.D.S.がなかったら、バレエ&ダンスの魅力をこんなに、365日感じることもなかった。
T.D.S.を支えてくれたのはバレエ&ダンスを愛する皆さんです。皆さんに会わせてくれたインターネットに、バレエ&ダンスに、そしてT.D.S.に感謝、感謝です。ちょっとテレますね。(笑)

ご協力ありがとうございました。(構成:Nobuko Ozu)