2017都民芸術フェスティバル参加公演 東京シティ・バレエ団
『パキータ』/『譜と風景』/『Octet』

17.3.30&31 ティアラこうとう大ホール

2of 2
TOKYO CITY BALLET LIVE 2017

Paquita/Score and Landscape/Octet

Octet

振付:ウヴェ・ショルツ
音楽:F.メンデルスゾーン『弦楽八重奏曲 変ホ長調 作品20』
振付助手:ジョヴァンニ・ディ・パルマ 木村規予香
バレエミストレス:山口智子 若林美和

第1楽章
休憩を挟んで第三部はショルツの『オクテット』。日本初演である。音楽はメンデルスゾーンが16歳の時に作曲した『弦楽八重奏曲 変ホ長調』が使われた。本作を振付けた時、ショルツもまだ20代の終わり。若々しく多幸感溢れる作品で、振付と音楽が見事に融合していた。
第一楽章は男女それぞれ6人の合計12名が登場し、主にヴァイオリンの主旋律に合わせて女性が、その他のパートに合わせて男性が踊る。音楽と強く結びついた振付は、時に平坦な印象を与えることがあるが、本作にその心配は全くない。早いテンポや、ダンサーの多用な組み合わせ、次々と登場しては去ってゆく出入りの多さなど、構成が変化に富んでいるからだろう。同じ振付が繰り返されても、そこには必然性があり、一度目と二度目では異なる印象を受ける。中森理恵と男性たちの、楽器の掛け合いを視覚化したシーンは瑞々しく、特に心に残った。
中森理恵 中弥智博

平田沙織 飯塚絵莉 渡邉優
大内麻莉 植田穂乃香

春野雅彦 浅井永希 石黒善大
二上史生 濱本泰然

第2楽章
黄凱&志賀育恵
第二楽章のアンダンテは志賀育恵と黄凱による、しっとりとしたパ・ド・ドゥ。一緒に踊る男女が二人とも客席の方向を向いていることはバレエでは多いが、それにしてもこの二人は向かい合わない。背中合わせになったり、女性の背後で男性がアラベスクをしていたり、お互いに歩み寄っても結局はすれ違ってしまう。男性は女性の腕を後ろから掴むが、女性はもっと別の方法で捕まえて欲しいのだろう。最後は男性が諦めとともに去り、女性は始めて男性のいた場所を振り返る。
第3楽章
沖田貴士
福田建太 三間貴範 岡田晃明
第4楽章
続いて沖田貴士を中心に、福田健太、三間貴範、岡田晃明の男性陣の踊り。沖田は愛嬌があり、軽快な踊りで第三楽章を引っ張った。

第四楽章では、第一楽章のような楽器のパートによる男女の踊り分けは曖昧になり、疾走感が増す。ラストはダンサー達が走り去る中、男性が一人シモテ手前でアラベスクをして終わる。まるで彼のインスピレーションの中に、作品が丸ごとストンと収まったかのような、すっきりとした幕切れだった。

2017.3.20所感

すみだ・ゆう=詩人/舞踊批評家

平田沙織 飯塚絵莉 渡邉優 河野麻子 大内麻莉 植田穂乃香
春野雅彦 浅井永希 石黒善大 二上史生 濱本泰然 吉留諒
沖田貴士/中森理恵/中弥智博
木村規予香
ジョヴァンニ・ディ・パルマ
STAFF
芸術監督:安達悦子
照明プラン:足立恒(株 インプレッション)
音響:シグマコミュニケーションズ
大道具:(有)ユニ・ワークショップ 
衣裳製作:工房いーち Costumiere
舞台監督:橋本洋 淺田光久 石黒勝己 ガーボル・アンドラーシュ
主催・制作:(公財)東京シティ・バレエ団