直前レポート!
篠原聖一バレエ・リサイタル DANCE for Life 2017
「ロミオとジュリエット」全2幕

インタビュー 隅田 有

いよいよ公演が今週末に迫る火曜日、リハーサルを終えたばかりの篠原聖一さんにインタビューを行ないました。

隅田有(以下"隅田")『ロミオとジュリエット』全幕、そして『グラズノフ・パ・ド・ドゥ』と『Out』も同時に上演される豪華なプログラムです。今回なぜこの3作品を選ばれたのでしょうか。

篠原聖一 2001年に始めた《DANCE for Life》のシリーズでは、創作を中心に色々な作品を上演してきました。必ずしもバレエという枠でくくらず、過去にはバレエ以外の分野の方にもご出演いただいてきたのですが、今回はその10回目の公演ということで、これまでの作品を振り返り、キーポイントとなるものの中から、3作品を取り上げました。

隅田 『ロミオとジュリエット』は2006年に文化庁芸術祭大賞を受賞、『グラズノフ・パ・ド・ドゥ』と『Out』は2001年の第一回公演で上演されて、その翌年の2002年に、舞踊家と振付家の両方の活動に対して第28回橘秋子賞優秀賞が贈られています。まさに記念すべき第10回公演に相応しいラインナップですね。出演者もたいへん豪華です。

_みなさん素晴らしい方に出演していただいています。これは(下村)由理恵さんがよく言っているんですが、キャスティングが決まるとその舞台の方向性が8割決まってくる。それくらいキャスティングは重要なんです。2006年の上演の際にジプシー役で出演してくれた今井(智也)くんが、今回はロミオを踊ります。全幕でのロミオ役は始めてだそうです。すごく勢いがあって、ジュリエットの演技にも相乗効果が出ているんじゃないかな。

隅田 パートナーが変わって、下村さんのジュリエットも新たな一面が見られそうですね。ところで下村さんと言うと、ジゼルのような可憐な役からカルメンのようなファムファタルまで、幅広い役を得意とされていますが、篠原さんから見てどのようなダンサーですか?

_難しいなぁ。不思議な人なんですよね。不思議くん(笑)。我々がやっていることは人間ドラマなんですが、人間ドラマを伝えていく時に、色々な役をこなしていける。他にこんな人はいないんじゃないかな。特にジュリエットはね。本当に13歳の少女に見えてくる。スコティッシュ・バレエにいた時に、ジョン・クランコ版をずっと踊って来ているので、向こうでは芝居の要素が強く要求されるから、その経験も大きいと思います。

隅田 まさに役を知り尽くしているのですね。『ロミオとジュリエット』の解釈には、十代の若者たちが"子供"のまま死に突っ走るというのもあれば、恋におちて短い期間にガラリと変わるというものもありますが、下村さんのジュリエット、そして今井さんのロミオはいかがですか。

_やはり変わっていく方でしょうね。どんどん変化していく。ある意味、変わっていくのが人間の本質じゃないかな。成長していかなければならない、っていうのがあるのかな。原作の中には死を予感させるいくつかのポイントがあって、振付の中にもそのような場面が何カ所かあるのですが、その「予感」を上手くつないでいって欲しいと思っています。

隅田 公演のタイトルは《DANCE for Life》、直訳すると「生きるためのダンス」ですが、死を描くことで、逆に生をあぶり出すというような意味があるのでしょうか?

_えーっと。以前、何人かの人に言われた事があるんですよ、今回も下村さん死んじゃうんですねって(笑)。椿姫もジゼルもカルメンも、みんな最後に死んじゃう。でも、死んでそこで終わってしまうのではなく、復活というか、人間の生きる道が、その先につながっていくようなエンディングになっています。

隅田 最後には希望があるんですね。そこには何か「次の世代に伝えてゆく、つなげてゆく」といった、篠原さんの作品の持つ力とも結びつきます。

_シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』は古い戯曲ですが、未だに読み継がれている。きっと普遍的に人々に訴える力があるんだと思います。歴史を振り返ると、様々なことが起きて社会は大きく変わりました。でも、のがれられない悲劇的な運命でも、少しでも良い方向に変えてゆきたい、変える力があるはずだ、というような願望があります。

隅田 実際に篠原版には「運命」という役が登場します。他のキャラクターについても教えて下さい。

_『ロミオとジュリエット』には主役以外にも色々なキャラクターがいて、ティボルト、マキューシオ、ベンヴォーリオ、乳母とか。みんな物語には重要な役です。そういう登場人物たちのやりとりを、各場面ごとにクローズアップしていくことで、物語がダイナミックに動き出します。出演者全員がその作品を作っている、そういう思いを持って欲しいと、ダンサーたちには伝えています。

隅田 ところでこの作品では音楽の果たす役割も大きいですね。プロコフィエフの音楽について聞かせて下さい。

_プロコフィエフの『ロミオとジュリエット』という曲は、非常にドラマ性が強いので、この音には、このシーンを充てるというような、動かしがたいものがあります。だから、とても精密で細い隙間なんだけど、この音でその芝居をやると、すごく腑に落ちて、すごく気持ちいいという瞬間がある。そのように、音と振付を摺り合わせていく作業はすごく大変ですが、試行錯誤しながら「あ、この音だ」と掴むこともあります。そうやって音の流れに素直に乗ると、自分の中でもストーリーが見えたり、言葉になって出てきたりするんです。

鈴木紳司 そうですね。ラストのジュリエットの自殺のシーンを見ていたら、ジュリエットが短剣を手にして言うシェイクスピアの台詞「この胸がお前の鞘」というのが自然に聞こえて来たんです。普通だったら、バレエを見ていてそんな台詞が聞こえて来ることなんてないんですよ。由理恵さんの"間"が作るものなのでしょうかね。何回見ても新しい発見があって面白いです。そのたびごとに同じ作品とは思えなくなります。
隅田 出演者の中にはロミオとジュリエットとまさに同世代の、フレッシュなメンバーも出演しますね。

_今回12名の子供が出演するのですが、みんなとても優秀ですよ。そのうちの三人は昨年開催された「第一回クラシカルバレエコンペティション」という、九州のコンクールの受賞者です(下村由理恵審査員特別賞)。そのコンクールのスカラシップに、東京での講習会に無料で参加できるっていうのと、舞台に出演する経験ができるといいのかなって考えて、パフォーマンス参加券というのを作りました。それで『ロミオとジュリエット』に出演してもらいます。全員とても若いんですが、他の出演者と一緒にクラスレッスンから始めてリハーサルまで、本当に一生懸命取り組んでいますよ。

隅田 プロの、それも一流のダンサーたちと、朝のクラスレッスンからリハーサルまで一緒に過ごすというのは、素晴らしい経験ですね。若手を育てて未来に繋げていくというのは《DANCE for Life》という公演の趣旨に相応しいように感じます。

_でもね、そんなに難しく考えないで(笑)。お客さんがどういう風にとっていただくかは自由なんです。楽しんでいただければ嬉しいです。

隅田 本日はお忙しい中、ありがとうございました。

17.9.26 スタジオ新宿村にて
篠原聖一バレエ・リサイタル第10回 DANCE for Life 2017

2017年10月1日(日)15:30開演
東京都 メルパルク東京 ホール

前売:S席 \8,500 A席 \7,500
当日:S席 \9,000 A席 \8,000 (全席指定・税込)

公式HP   http://www.seiichi-yurie.com/ 

チケット予約E-mailはは9/30(土)23:59まで
ダンスインディード E-mail: danceforlife.info@gmail.com
【お名前・席種・枚数・TEL】を明記下さい。