札幌文化芸術劇場 hitaru オープニングシリーズ
札幌舞踊会
創立70周年記念公演バレエ 「カルミナ・ブラーナ」
2018.12.15 札幌文化芸術劇場 hitaru

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SAPPORO BUYOUKAI
CARMINA BURANA

一段とアピール度を増した
千田雅子の改訂版『カルミナ・ブラーナ』
うらわ まこと
 北海道札幌市に札幌舞踊会という舞踊の団体があります。1948年に設立された北海道を代表する、というより日本で有数のダンスカンパニーといってよいと思います。
坂本登喜彦
高岸直樹 成田桃太郎 髙比良 洋

 創立したのは千田モト、彼女は古典バレエから現代作品、さらに地域性の高い創作作品まで、積極的に活動を続けました。その娘で現在の代表で芸術監督、千田雅子はまず東京バレエ団で活躍、1977年にここで最初の『カルミナ・ブラーナ』を振付、その後、古典とともに島崎徹、金森穣など若く才能ある振付者を起用するなど、極めて活発に創造的な活動を続けてきました。

 千田モトは1997年に永眠、代表となった雅子は、その翌年に母の追悼公演として、まったく新しい感覚で『カルミナ・ブラーナ』を再振付し、さらにその翌年99年にはこの作品で東京に進出して文化庁芸術祭に参加、大賞を受賞しているのです。
 そして、このたび舞踊会創立70周年を記念し、新たに開館した札幌文化芸術劇場hitaruのオープニングシリーズに参加、『カルミナ・ブラーナ』をさらにいろいろと手をくわえて上演したのです。

梶原千佳&浅田良和
 さて、『カルミナ・ブラーナ』ですが、音楽はカール・オルフ(1895〜1982)の作曲した同名の曲。複数の独唱者と成人と児童合唱団による舞台カンタータ(歌曲)です。テキスト(歌詞、台本)は中世(13世紀から14世紀)の吟遊詩人や流浪僧などのラテン語の歌集からオルフ自身が24作を選び、最初と最後に同じ曲を使った25の歌曲からなっています。その内容は卑俗な酒・女・愛・性などを歌ったもので、権力に対する風刺性もあり、宗教的なものに対して世俗カンタータといわれることもあります。

 よく知られる冒頭と最後の「オオ、幸運の女神よ」。他の曲も魅力的で、多くの舞踊家がこの曲に振付をしています。現在日本で上演されているのは、新国立劇場のビントリー版、カール・オルフ・カンパニーによる佐多達枝版ですが、さらに来年(2019年)には、北陸や名古屋でも石井潤などの作品の再演が予定されています。