〜学苑創立60周年を記念して〜
前田バレエ団公演
「白鳥の湖」全幕

2010.2.14 静岡市民文化会館 大ホール

2of 2
Maeda Ballet
SWAN LAKE

花嫁候補
宮川ありす、飯塚絵莉、白鳥 葵、望月美希、芹澤沙耶香、天野 薫
 第3幕は王子が花嫁を選ぶ宴である。道化(下島功佐が明るく好演)が進行役になって、まず花嫁候補が登場する。白い羽根扇を手にした6人はそろって初々しくかわいらしい。優雅に踊ったが王子は花嫁に選ばなかった。
オディール:イリーナ・コシェレワ
 スペインはバレエ団のホープ、原あゆ美と那須野芽生。共に美しく“適度な気迫”を込めてゆったりと踊った。チャルダッシュ(山本里香ら)は軽快、ナポリ(松下明日実ら)は元気。マズルカは「優雅」というより「にぎやか」であった
スペイン:那須野芽生、須藤 悠、檜山和久、原あゆ美
チャルダッシュ:山本里香、川島春生
ナポリ:酒井 大、松下明日実
マズルカ:前田晶子、望月由弥、森川里子、伊東恵美
長清 智、敖 強、布目真一郎、荒井成也
 グラン・パ・ド・ドゥが始まった。オディール(イリーナ・コシェレワ)と王子(ミハイル・シヴァコフ)は好コンビである。アダジオ、ヴァリエーション、コーダのグラン・フェッテまで技を誇張することなくナチュラルに踊った。 

 王子は出会った瞬間からオディールに心を奪われているように見えた。だから迷うことなく結婚を宣言してしまった。

イリーナ・コシェレワ &ミハイル・シヴァコフ
 第4幕、幻想的な光(照明デザイン=中沢幸子)が注ぐなか、もやにかすむ湖のほとりで踊る白鳥たちを「美しい」と思わない観客は1人もいなかったろう。その群舞は第2幕に比べると見違えるように流麗であった。
イリーナ・コシェレワ
 オデットが戻って来る。憂いに満ちていた。王子が追って来て彼女にわびる。オデットは死を決意しているようであった。不幸な結末なのか……と予測したが、一転して白鳥たちのパワーがロットバルトを追い詰め、そのパワーに勇気づけられた王子はロットバルトを破滅させる。オデットと白鳥たちが乙女の姿に戻ったところで幕が下りた。
正木亮羽/イリーナ・コシェレワ /ミハイル・シヴァコフ
 王妃はガリーナ・ラリチェワ。王子の家庭教師は本多実男。演出・再振付は前田藤絵(前田バレエ団代表)。音楽監督・指揮は福田一雄、演奏は静岡フィルハーモニー管弦楽団。

2010年2月14日静岡市民文化会館大ホール所見

てらむら・さとし=舞踊ジャーナリスト

STAFF
演出・再振付/前田藤絵
(プティパ・イワノフ版に基づく)
演出補佐/本多実男
バレエミストレス/友田優子
音楽監督・指揮/福田一雄
演奏/静岡フィルハーモニー管弦楽団
舞台監督/狩俣康徳
照明プラン/中沢幸子
照明/KLD
舞台監督/東宝舞台
衣裳協力/谷桃子バレエ団、東京シティ・バレエ団他
主催/前田バレエ団