〜学苑創立60周年を記念して〜
前田バレエ団公演
「白鳥の湖」全幕

2010.2.14 静岡市民文化会館 大ホール

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Maeda Ballet
SWAN LAKE


バレエ&ダンス・ジャーナル★寺村 敏

 バレエ団の母体である前田バレエ学苑(静岡市)が1950年に創設されて今年は60周年。1978年に活動を開始した前田バレエ団は2年後の1980年に初の全幕バレエ上演に取り組み『白鳥の湖』を上演した。それからかぞえて今年は30周年……2回目に上演した1990年からちょうど20年にあたる。さてその『白鳥の湖』はーーー

 岩山に花摘みにやって来た乙女がロットバルトに襲われ幽閉されるプロローグを経て幕が開いた。宮殿中庭でジークフリート王子の成人を祝うパーティーが開かれている。
道化:下島功佐
 「侍女たち」と「娘たち」合わせて31人が淡い色の衣装で踊る。ほほえみを浮かべた群舞はさわやかで上品だ。そこに王子が登場する。ミハイル・シヴァコフ(レニングラード国立バレエ)はゆったりと姿を現した。
家庭教師:本多実男
ジークフリート王子:ミハイル・シヴァコフ&王妃:ガリーナ・ラリチェワ
パ・ド・トロワ
飯塚絵莉、エンバー・ウィルス、原あゆ美
 パ・ド・トロワはエンバー・ウィルスを挟んで原あゆ美と飯塚絵莉。第1ヴァリエーションは優雅、第3ヴァリエーションは穏やかな雰囲気がいい。このパ・ド・トロワを含めて第1幕は“春の華やぎ”を感じさせた。
 第2幕に移行する。王子が湖のほとりにやって来た。オデットが登場する。イリーナ・コシェレワ(レニングラード国立バレエ)は長身で美しい。最初、王子に出会って背を向けて逃げるが、時間の経過と共に彼の優しさに触れて心を開いていく様子を明解に踊った。
ロットバルト:正木亮羽
ミハイル・シヴァコフ&オデット:イリーナ・コシェレワ
 「白鳥たち」24羽が“白い情景”を形成する。立ち並ぶ曲線を上方から見ると白鳥の翼の形になっている。凝った振付である。「小4羽」はリズム感が秀逸で心地よく「大3羽」も動きのタイミングが一致して同様に心地よい。ロットバルト(正木亮羽)が、寄り添ったオデットと王子の仲を割くシーンで幕が下りた。
 
ミハイル・シヴァコフ&イリーナ・コシェレワ
四羽の白鳥:芹澤沙耶香、飯塚絵莉、望月美希、大畑有緒
三羽の白鳥:宮川ありす、原あゆ美、那須野芽生