井上バレエ団「くるみ割人形」
2017.12.9 文京シビックホール 大ホール

2of2
The Inoue Ballet
The NUTCRACKER

戦いを終えて、クララはお菓子の国に招待されますが、当時はその国の特産品だったお菓子をモチーフにしています。
スペイン:チョコレート、アラビア:コーヒー、中国:お茶
ロシア:トレパックという大麦糖のキャンディー?、フランス(あし笛の踊り)アーモンド味のタルト、キャンディ・ボンボン(ギゴーニュおばさん):砂糖菓子

新国立劇場HPより《お菓子の写真あり》

金平糖の精:源 小織
スペイン:滝沢あかね、中尾充宏
アラビア:大島夏希
     近藤沙也子、齊藤美姫、葛西仁黎花、齊藤絵里香
中国:粕谷知美、貫渡竹暁
トレパック: 加藤健一 &三浦綾香
あし笛の踊り:秋吉秀美、中堀菜穂子、井上 愛
ギゴーニュおばさん:玉利智祐
花のワルツ:荒井成也&越智ふじの
最後に金平糖がお菓子の女王として登場し、華やかにグラン・パ・ド・ドウで幕を閉じます。夢のようなやわらかい色調のピーター・ファーマーの舞台美術と衣裳が、全体の印象をファンタジックに整えました。

金平糖は雪の結晶のようなツノのある砂糖菓子ですが、味よりも鮮やかな色彩のほうが印象に残ります。現代の子どもたちにも、おなじみのスイーツなのでしょうか。特別な日の特別なお菓子も世に連れて変わっていくのでしょう。

王子:浅田良和 金平糖の精:源 小織
浅田良和
源 小織
終演後、楽屋でプリンシパルの島田衣子さんと愛娘一衣(ひとえ)ちゃんに会いました。どうやらパパ(石井竜一さん)に会いに来たようですが、この家族的な雰囲気がこのバレエ団には満ちみちています。芸術監督の関 直人さんを家長にするファミリーのようです。誰一人欠けることなくクリスマスを迎える幸せこそ「くるみ割り人形」のテーマなのです。

堀 登
このバレエ団で忘れ得ぬ人がいます。8年前に書いた拙文を再掲します。

 当たり前のように毎年クリスマスがやってきて「くるみ割り人形」が上演されます。1年が経つ早さに驚きこそすれ、それが幸せだということを感じたことはありませんでした。が、今年は違います。井上陽集さんがそこにいません。出演していないことは分かっていても「今日は何を踊るのかな?」と、いつの間にか心の奥で捜してしまいます。 雪の王子や花のワルツのソリストなど多くの役を演じてきた気品あるダンサーでした。25周年記念公演の華やかなロビーをみつめ、家族や友人達と今この瞬間を“共有する喜び”を噛みしめずにいられません。それこそが「くるみ割人形」を毎年見続ける意義ではないでしょうか。

写真・文 鈴木紳司

STAFF
芸術監督・振付/関 直人
美術・衣裳/ピーター・ファーマー
美術監修/橋本 潔
指揮/御法川雄矢
演奏/ロイヤルチェンバーオーケストラ
合唱/NHK東京児童合唱団
合唱指導/金田典子
照明/立川直也((有)満平舎)
舞台監督/相馬勝己(相馬舞台研究所)
衣裳/柊舎
公演監督/岡本佳津子
主催/公益財団法人 井上バレエ団