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劇的舞踊集団Kyu
「龍馬と幕末サラリーマン」〜俺たちの夜明け〜 2009.1.16〜18 横浜赤レンガ倉庫1号館 |
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高谷大一 &金田あゆ子
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坂本龍馬:金田あゆ子
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| ”劇的舞踊集団Kyu”はバレエ、モダンダンス、フラメンコ、日本舞踊等々、ジャンルの異なるベテラン男性ダンサー9人が中心になって2008年に結成された”大人の男のダンスユニット”だ。彼らは、肉体は衰えるがだからこそ味わい深い表現ができると、新しい可能性の追求を掲げて、昨年に旗揚げ公演を行った。その「白雪姫と七人のサラリーマン」(演出・振付・上田遙)はまさに心意気あふれる舞台で、現代のカリカチュアとしてまたエンターテイメントとして大いに楽しませてくれたのだった。
そして迎えた”劇的舞踊集団Kyu”の2回目の公演である。今回の劇場は横浜の赤レンガ倉庫。折しも横浜は開港150周年を迎えて記念行事が目白押しのなか、Kyuは「龍馬と幕末サラリーマン」を上演するという。前回同様、主役ゲストは一人の華のある女性実力派ダンサー。その金田あゆ子が坂本龍馬の役というのも興味深い。 |
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古賀豊 / 膳亀利次郎 / 金田あゆ子 / 佐藤一哉 / 箆津弘順
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| まずは、横浜のバーで酔っぱらって幕末の話をするサラリーマン(善亀利次郎)の登場で、現代にありがちな情景を見せてから舞台はタイムスリップ。幕末の混乱期、葵商事の常務が刺客(上田遙)に暗殺され、会長(高谷大一)は危機的状況を乗り越えるために孫娘(金田あゆ子)を社内に送りこむ。
すでに旗揚げ公演でおなじみになったサラリーマン諸氏がコミカルな味わいのダンスを披露。座布団の奪い合いやら、刀をもってとぼけた味わいの立ち回りなども繰り広げられ、なんとなくサラリーマン社会のヒエラルキーが見えてくる。音楽は冒頭に「男と女」の曲が流れたが、前半のほとんどは上田樹のパーカッションが時を刻むようにリズムを叩き出していく。そこには剣舞のおもしろさも、金田をめぐって男たちの探り合うような踊りのおもしろさもある。 |
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| ただ、たとえば4重奏や五重奏、八重奏のようにそれぞれのソロのパートになると自分の出番を待ってました、と楽しそうにそれぞれの演奏者が奏でて、アンサンブルはしっかり持ち場を守って調和を生み出す、という前回のようなメリハリが少々弱いのが残念。ダンサーたちが今ひとつ乗っていないのだろうかと一瞬危惧したが、後半になるとそれも解消されていく。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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上田樹
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膳亀利次郎& 金田あゆ子
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堀内充
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西川箕乃助
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| 米国のサブプライム問題に端を発した100年に一度という世界的経済危機に関するニュースがテレビや新聞をにぎわせている今、黒船の来航で混乱した幕末のサラリーマンという設定はわかりやすくタイムリーだ。間違いなく私たちの社会には、この閉塞感を打開したい、しなければという気分がみなぎっているのだから。そんな”今という時代の気分”を舞台のサラリーマン諸氏が代わって表しているといえるだろうか。
パーカッションの他、耳に親しんだ曲も流れるなか、テンポよく舞台は進行。サラリーマンは幕末の人物に姿を変えて踊る。堀内充の土方歳三、西川箕乃助の西郷隆盛、古賀豊の近藤勇、ペリーの佐藤一哉、善亀利一郎の勝海舟などなど、それぞれの踊りのスタイルが強い個性を放ちながら。しかしこの作品が安易な英雄待望論になっていないところがいい。目線はあくまで日本のサラリーマン。だから後半でも、幕開きと同じ人物、堀田が登場して飲んでこぼす。 |
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大前雅信
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膳亀利次郎 / 高谷大一 / 箆津弘順 / 佐藤一哉 / 金田あゆ子
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古賀豊 & 金田あゆ子
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上田遙
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| 「龍馬と幕末サラリーマン」は、演出・振付を劇的舞踊集団Kyuの全員で行っているようだ。ここでは出演者がそれぞれ振幅の広い踊りと芝居を見せなければならないが、それがまた新しい表現の追求ということに繋がっているのだろう。幕開きにトウシューズとドレスでフェミニンな踊りを見せたゲストの金田もまた、ベテランダンサーたちに囲まれ坂本龍馬になると中性的な妖しい魅力を発揮した。地球儀をもって彼女が踊るシーンは、広い視野の持ち主だったと評価される龍馬という人物像と重ねて見えて印象的でもあった。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 人生経験を沢山積んで理解力も増し、表現が豊かになる頃には体力が降下するという宿命を、身体を表現の拠り所にする人たちほど感じている人はいない、とはよく言われる。そして、俳優よりも歌手よりもダンサーがそのことを一番知っている、とも。常にベストを目指して日々レッスンを重ねているダンサーは、だからこそ素敵。舞台はそんなダンサーたちの作品への思いが、強いエネルギーとなって放たれる場である。そんなことを改めて感じた公演だった。また次回の企画が楽しみだ。
2009.1.16 横浜赤レンガ倉庫1号館所見 舞踊批評家 林愛子 |
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