1of 1 Tokyo City Ballet CARMEN
という訳で、まずは東京シティ・バレエ団が『カルメン』全2幕を4年ぶりに再演したことを心から喜びたい。 同作の演出、振付、舞台美術、衣装、照明は全てオリジナル。音楽はビゼーの既存曲を使ってはいるが、オリジナルの台本に沿って福田一雄が選曲、再構成したスコアを、福田が指揮、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団が演奏した。会場は2006年の初演時も今回の再演も定員約1000人の新国立劇場中劇場、公演数は各々2回。つまり、本作はバレエ団にとって最大規模の創作活動の賜物であり、それを鑑賞する幸運に恵まれた観客数を単純計算すると、初演時の約2000人から一気に倍増したことになる(実際の入場率は100%未満だったようだが)。
再演を重ねる毎にこの『カルメン』がより多くの観客に鑑賞されるだけでなく、数多の鑑識眼にさらされ、「名作へと育つ生命力」(同団芸術監督の安達悦子氏がプログラムに寄せた一文より)を発揮し、真の名作としてレパートリーに定着することを切に願う次第である。
1幕終盤、照明の切り替えを繰り返し、闘牛士改め、システム管理部長エスカミーリョと彼に心を動かしたカルメンが踊るデュエットと、二人の傍らで苦悩するホセのモノローグを対比させた演出が印象深い。やがてホセが一対の巨大な可動式ブロックに挟まれ、彼の破滅を暗示する1幕のラストシーンも秀逸。
しかし全体的な演出に関しては、前述した通り、説明的になりすぎるきらいがあったのが惜しまれる。たとえば「結」がすでに予想できているのに、「承」と「転」の説明が淡々と続くと、わかりやすい反面、もどかしさが募ってしまう。
2010.2.6 新国立劇場中劇場所見
舞踊批評家:うえのふさこ
編曲・指揮/福田一雄 演奏/東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
美術/江頭良年 照明/足立 恒 衣装/桜井久美 音響効果/中島良一 衣装製作/アトリエ・ヒノデ 大道具製作/(有)ユニ・ワークショップ 舞台監督/橋本 洋、淺田光久 制作/一般財団法人 東京シティ・バレエ団